ワンルームマンション投資を始めるにあたり、「サブリース契約」という言葉をよく聞きますが、一体どんな内容の契約なのでしょう。メリットが多い反面、制約があり、売却時に「きちんと内容を知っていれば・・・」と後悔することも少なくありません。今回はサブリース契約の仕組みを理解し、ワンルームマンションの購入や売却に向けて準備していきましょう。
サブリース契約の基本的な仕組みは、オーナー様が所有物件をサブリース会社に貸し、その物件を実際の入居者に転借するということで運営されます。家賃の徴収や管理業務はサブリース会社が行います。これにより、オーナー様は安定した収益を得ることができます。
1. 安定した収益
オーナー様は所有物件をサブリース契約をした不動産会社に貸すため、入居者の有無にかかわらずサブリースの会社からオーナー様に賃料が支払われます。(家賃保証) 入居者の確保や滞納があった場合の対応も委託することができるので、利益を安定して確保することができます。
2. 管理の負担軽減
サブリース会社が不動産の日々の管理業務を担当します。入居者募集、家賃トラブルや建物トラブルなどの業務はサブリース会社に委託することがため、オーナー様は賃貸運営の負担から解放されます。
上記のメリットから、本業の会社勤めが忙しい、副業で初めてみたけど賃貸業務に慣れていない、といった方にサブリース契約は向いていると言えるでしょう。
サブリース契約により、安定した家賃収入を得ることができ、面倒な賃貸管理業務から解放されます。複数の不動産を所有するオーナー様にとっても負担を軽減する有益な手段となります。
サブリースの内容をよく知らずに契約してしまい、後から困らないように、サブリース契約のデメリットについてもみていきましょう。
デメリット1. 受け取る賃料が少なくなる
サブリース契約により、オーナー様の収入は毎月の家賃からサブリース会社の手数料(家賃の10%〜20%)を引いた金額となるため、契約をしている分だけ収益は少なくなります。また、礼金もサブリース会社の取得となります。
デメリット2. 家賃の見直しがある
サブリース契約をした後はその不動産会社が家賃をいくらに設定するのかを決定することができます。そのため、数年後に「家賃相場が下がった」「建物の老朽化」などの理由で家賃の減額を言われた場合、オーナー様は合意することしかできなくなります。
こうした家賃保証の詳細について十分な理解がないまま契約してしまうと、後のトラブルにつながります。
デメリット3. 修繕やメンテナンスに予想外の費用がかかる
サブリース契約でも、老朽化による建物のメンテナンス費用や原状回復費用などは手数料に含まれずオーナー様負担になることが一般的です。その際、サブリース会社が修繕の内容や費用を勝手に設定し、オーナー様には費用だけが請求され、その内容が割高だったというトラブルが起きています。
契約時には、どのような範囲の修繕を追加費用なしで行ってくれるのか、またどのようなケースにオーナー様への費用負担が発生するのか確認が必要です。
デメリット4. 免責期間がある
新築物件の場合など、多くのサブリース会社は免責期間というものを設けています。その免責規定とは、最初の入居者を募集する際に「入居者が決まるまで家賃収入がない」「募集広告に費用がかかる」などの理由で、契約開始からの一定期間はオーナーへの家賃の支払いが免責される(オーナー様に賃料が支払われない)という内容です。
長ければ半年などの長期間の免責期間を設定するサブリース契約もありますので注意が必要です。
デメリット5. 売却ができないことも
ワンルームマンションにおいては、ほとんどが不動産買取をしている業者に売却を行うことが多くなります。そういった買取をしている業者の中には、サブリース契約をしている物件の買取を避ける業者も多く、そのため、売却をしたくてもなかなか買い手が見つからないケースが発生します。
上記のような内容から、サブリース契約には利点もあれば注意するべき点もたくさんあります。
先のことも見通して、契約前に内容はしっかり確認しましょう。ここでは、どういった点に注意するべきかを見ていきます。
サブリースの契約をする際、契約期間の長さに注意することが重要です。一般的には10年以上に設定されますが、中には20年や30年といった長期の契約を設定しているところもあります。長期契約は、オーナー様にとっても収益性の安定化ができメリットがある一方、家賃保証の中身は相場に合わせてその都度変更されるのが一般的なため、不利な条件が記載されていないか注意が必要です。
上記のように、サブリース会社との間で取り決めた家賃保証は、サブリース契約の期間が20年以上の長期であったとしても、期間中に家賃が見直されるケースがほとんどです。契約内容の中に、一定期間ごとに家賃の見直しが行われるという内容が含まれています。
サブリース契約を行う際は、何年ごとに契約見直しが行われるのかをあらかじめ確認しておきましょう。
サブリース契約のメリットである「家賃保証」ですが、大抵の場合、契約内容の中には免責期間が設定されています。これは、サブリース会社が設けた入居募集期間で、入居者が退去した後に空室となる一定期間は、サブリース会社はオーナー様側に賃料を支払う必要がない期間を指します。短いもので2ヶ月、長いもので半年などといったものまであるので、サブリース契約を交わす際は契約書の内容をきちんと確認し、免責期間の有無や内容を把握することが重要になります。
サブリース契約は、オーナー様側が希望しても解約することは簡単ではないと言われています。
理由としては、まず、この契約は基本的にはオーナー様とサブリース会社との間で成立した賃貸借契約になります。つまり借地借家法により借主であるサブリース会社が保護され、サブリース会社の同意がなければオーナー様側からの解約申し出は、正当な事由がなければ成立しません。
仮に中途解約が可能でも、高額な違約金が発生する場合があります。契約時にはこういった違約金に関する事項もしっかりと確認しておきましょう。
また、解約に関する条項があっても、解約の場合は事前通知に関して決まっていることが多く、「解約の場合は6ヶ月以内に通知が必要」など、希望してから成立するまでにかなりの時間がかかってしまいます。
以上のように、この契約においてはサブリース会社が保護される立場の「借主」となります。サブリース契約でのトラブルを回避するには、オーナー様は契約内容をしっかり吟味し、契約を慎重に進める必要があります。
2020年より「賃貸住宅の管理業務などの適正化に関する法律(通称サブリース新法)」が施行されました。このサブリース新法の主な変更内容は下記の3点です
①誇大広告の禁止(第28条)
②不当な勧誘行為の禁止(第29条)
③契約前重要事項の説明と書面を交付することの義務化(第30条)
サブリース会社とオーナー様が交わす契約は、正確にはマスターリース契約を指しており、サブリース会社と入居者で締結する契約をサブリース契約と言います。(両方をまとめて「サブリース」と称されることが一般的です)
このサブリース新法は、サブリース業者等がオーナー様との間の賃貸借契約(マスターリース契約)締結にあたり、建物所有者(オーナー様)側を保護する内容になります。
この法律が施行された背景には、悪質なサブリース会社が社会問題化したことにあります。これにより悪質な誇大広告や勧誘を行う業者は減少しましたが、トラブルを回避するには交付される<重要事項説明書>の内容を自身でしっかりと確認し、理解した上で契約をしなければなりません。
ワンルームマンション物件を所有していて売却を検討している方の中には、サブリース契約中の方もいらっしゃるかと思います。
サブリース物件は一般的なオーナーチェンジ物件に比べて、売買に必要な準備が多くなります。「借主」であるサブリース会社との契約内容を確認し、解約が可能か、また違約金がどのくらいかかるのか、サブリース契約を維持したままの売却となるのかなどを確認しなければなりません。
こういったサブリース会社との調整など、どうすれば良いかわからず売却に踏み出せない方は、経験に長けている不動産会社に依頼するのがおすすめです。
ReTure<リトゥルー>でも、サブリース契約中のワンルームマンション物件の売却を取り扱っております。どうすれば損することなく売却を進められるか、オーナー様の立場に立って一緒に考えてまいりますので、どうぞお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。