耐用年数とは、建物や設備、機械などの資産に対して定められた「一般的に使用できるとみなされる期間」のことを言います。
投資用ワンルームマンションも、建設された時から経年劣化により物件の価値が下がっていくものと考えられています。
この定められている年数が、節税や不動産売却時にも関係してくることをご存知でしょうか?
今回のコラムでは、それぞれどんな影響があるのかも含めてご説明していきます。
ぜひ最後までご覧くださいね。
耐用年数とは、経年劣化によって価値が下がると考えられるものに定められる期間のことです。
ワンルームマンション投資においては、土地は年月により劣化することはないため耐用年数はありませんが、建物に対してのみ設定されています。
耐用年数は税金などにも関わる項目であり、それぞれの価値を公平にするため国により詳細が定められています。
(「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」昭和40年3月31日大蔵省令第15号)
この年数は、ワンルームマンンション投資をする上で欠かせない減価償却に深く関わってきます。
減価償却についてはのちにご説明しますが、まずは住宅用の建物における主な法定耐用年数について見てみましょう。
構造 | 耐用年数 |
木造 | 22年 |
モルタル造 | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
レンガ造・石造・ブロック造 | 34年 |
金属造(3mm以下) | 19年 |
金属造(3mm~4mm以下) | 24年 |
金属造(4mm超) | 34年 |
ちなみに、よく似た言葉に「耐久年数」がありますが、意味が全く変わりますのでご注意ください。
耐久年数とは、メーカーなどがそれぞれ「問題なく使用できると決めた期間」のことを言います。耐用期間と違い、省令により定められたものではありません。
ワンルームマンション投資をする上では、確定申告の際など会計や税務関係の知識を身につけることがとても重要です。
また、売買を行う際にも指標となるこの耐用年数ですが、それぞれどのように関わってくるのかをみていきましょう。
ワンルームマンション投資を始めるほとんどの方が利用する投資ローン。
不動産を購入するために借入を行うには、金融機関の審査を通らなければなりません。
審査をする際にポイントとなる項目はいくつかありますが、耐用年数も融資の期間に関わる重要な項目の一つです。
融資期間は建物の耐用年数に影響され変わります。
耐用年数が長く、融資の期間が長くなれば月々の返済額が少なくなりますので、キャッシュフローに余裕を持たせることができますね。
審査の基準は、それぞれの金融機関の規定で定められたものであるため、法定耐用年数とはズレが生じる場合がありますが、法定耐用年数が長ければそれに応じて期間が影響すると考えてよいでしょう。
事業用として保有する不動産物件の場合、減価償却により経費計上をすることが可能です。ワンルームマンション投資では、適切に経費計上していくことで、節税になる場合がありますので正しい知識を身につけておきましょう。
減価償却とは、不動産などの資産が時間とともに減少することを考慮した経費となります。
購入した資産(マンション)の代金を分割して、毎年の経費に計上することができます。
減価償却の計算には、この耐用年数がとても重要です。
減価償却の計算方法は「定額法」と「定率法」がありますが、不動産投資では「定額法」を使うことが多く、次のような計算式になります。
<定額法による計算式>
減価償却費=取得価額(建物にかかった費用)× 定額法の償却率
ここで使われる定額法の償却率が、耐用年数によって変化します。
耐用年数 | 定額法償却率 |
2年 | 0.500 |
5年 | 0.200 |
7年 | 0.143 |
10年 | 0.100 |
15年 | 0.067 |
たとえば、耐用年数10年、価額が3000万円の投資用ワンルームマンションを購入した場合の計算は、【3000万円×0.100=300万】、毎年の減価償却費は300万円となります。
耐用年数が長いと減価償却の期間も長くなるため長期間経費計上することができますが、耐用年数が短いとその分償却率が高くなるため、1年あたりの節税効果は高くなります。
この定められた耐用年数は、実はワンルームマンションを売却する際にも関わってきます。
先ほどもご説明した通り、減価償却費は耐用年数の期間内だけ計上されます。
耐用年数が過ぎた物件ですと、減価償却費が計上できなくなるため税金が上がりキャッシュフローが悪くなります。
耐用年数を過ぎたからといってその物件に住めなくなるわけではありませんが、物件の価値としては0円になるとされています。
投資用ワンルームマンションは収益をあげることを目的として購入されますので、少しでも高く売るためには耐用年数が終了する前に売却することがおすすめです。
耐用年数が過ぎる前に売却した方が良いとお伝えしましたが、購入してからの年数にも注意する必要があります。
投資用ワンルームマンションを売却し、取得費より上回る売却益が出た場合にはその金額が譲渡所得となります。
譲渡所得には所有した期間に応じて課税され、納税の義務が生じます。
ここでポイントとなるのが、物件を所有してから5年を超えているかどうかという点です。短期か長期かで次のように税率が変化してきます。
区分 | 保有期間 | 所得税 | 住民税 |
長期譲渡所得 | 5年超え | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
この表から、5年を超えるかどうかで税率が倍近く変わることがわかりますね。
不動産投資では、出口戦略としていかに利益を残すかが重要となってきますので、総合的にみて売却のタイミングを考える必要があります。
今回は耐用年数が不動産投資にどのように関わってくるのかをご説明しました。
融資を受ける際、また所有している間から売却時まで、耐用年数が深く関わってくることがお分かりいただけたかと思います。
ワンルームマンション投資を始める際は、うまく賃貸経営を行い、その後の出口戦略まで想定することが非常に重要となります。
耐用年数についての知識を身につけておくことで、さまざまな対策に役立てることができますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
また、不動産投資ではさらに幅広い知識や経験も必要です。
物件の売却など、気になることがあればリトゥルーにお気軽にご相談ください。
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