不動産取得税はいくらかかる?投資用マンション購入時の税金を解説

コラム紹介

投資用マンションを購入するとき、物件価格や仲介手数料だけでなく、購入後に必ず届く税金があります。
そのひとつが「不動産取得税」です。

この税金は、契約や決済のときにまとめて払うわけではなく、購入からしばらく経ってから納付書が届くため、予算を組むときに見落としがちです。

さらに、投資用マンションの場合、住宅用の税金軽減が使えないケースが多く、想定より高額になることもあります。

この記事では、不動産取得税の基本から、計算方法、特例の可否、納付の流れ、そして購入時に一緒にかかるほかの税金まで、投資用マンションオーナーの視点で詳しく解説します。

不動産取得税とは?

一度だけかかる地方税

不動産取得税は、土地や建物を取得したときに一度だけ課される税金です。
毎年かかる固定資産税とは違い、「取得」という行為に対してだけ課税されます。

課税するのは国ではなく、物件所在地の都道府県です。
たとえば東京都内の物件なら東京都税事務所、大阪市内なら大阪府税事務所が窓口になります。

よく混同されるのが、市区町村から届く固定資産税の納付書ですが、
不動産取得税はまったく別物で、請求元も異なります。

どんなときに課税されるのか

不動産取得税は、「有償」でも「無償」でも、取得した時点で課税されます。

具体的には、以下のようなケースです。

  • 売買(新築・中古の購入)
  • 交換(不動産同士を交換する)
  • 贈与(親から子へ物件をあげる)
  • 建築(自分で土地を買って建物を建てる場合も対象)

つまり、「お金を払ったかどうか」は関係なく、所有権を手に入れたら対象になるのです。

課税されないケースもある

すべての取得が対象というわけではありません。
代表的なのは相続による取得です。

たとえば、親が亡くなり、遺産としてマンションを相続した場合、
不動産取得税はかかりません。
(ただし、その後の固定資産税や相続税は別途かかります。)

納付までの流れ

マンションを購入したら、すぐに請求が来るわけではありません。
通常は契約・引渡しから数か月〜半年ほど経って
都道府県税事務所から納付書が郵送されます。

これは、役所側が法務局の登記情報をもとに課税事務を行うため、
どうしても時間がかかるからです。

初めて購入する方の中には、
「忘れたころに突然請求が来て驚いた」という方も少なくありません。

不動産取得税の特例や免税は使える?

不動産取得税には、購入者の負担を軽くするための制度がいくつかあります。
代表的なのは「税率の特例」「免税点」「課税標準の特例」の3つです。
それぞれの概要と、投資用ワンルームが特例に当てはまるのかについて解説します。

不動産取得税の税率と特例

原則の税率は4%ですが、住宅用の不動産(自宅・賃貸を問わず)には3%が適用されます。
この軽減は令和9年3月31日取得分までの時限措置で、面積要件はありません。
したがって、賃貸マンションやワンルームであっても、住居部分であれば原則3%になります。

ただし、店舗や事務所部分は住宅用に該当せず、4%で課税されます。
区分所有で一部が店舗になっている場合などは、住宅部分と非住宅部分で税率が分かれる点に注意が必要です。

区分 税率
土地 3%
住宅 3%
住宅以外 4%

免税点制度

評価額が小さい場合には、不動産取得税がそもそも課税されない「免税点」があります。
土地は10万円未満、住宅用建物は23万円未満、非住宅用建物は12万円未満が目安です。

しかし、投資用ワンルームは建物評価額だけでも数百万円規模になることがほとんどです。
そのため、この免税点で非課税になるケースはまずありません。

■課税標準の特例

不動産取得税は、課税標準(固定資産税評価額) × 税率というシンプルな式で計算されます。
この課税標準をそのまま使うのではなく、条件を満たす住宅については評価額を減らして税額を軽くできる仕組みが「課税標準の特例」です。

対象となるのは、新築住宅と、一定の基準を満たした中古住宅です。
土地(宅地)にも軽減ルールがあり、建物の条件を満たすことが前提になります。

宅地の課税標準額の特例

住宅が建っている土地については、課税標準を評価額の1/2に軽減できる制度があります。
たとえば評価額が1,000万円の宅地なら、税金計算では500万円を基準に計算。
税率が3%の場合、税額は15万円となり、軽減がなければ30万円かかる計算です。

住宅取得の軽減措置

新築住宅を取得した場合、一定の条件を満たすと「課税標準の特例」により家屋(建物)部分の固定資産税評価額から1,200万円を控除できます。
この控除は全国一律の金額ではありますが、自治体によって多少異なる場合があるため、事前に確認しておくことが大切です。

対象となる条件は、一戸あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下であること(区分所有マンションでは専有部分の面積が基準)や、自己の居住用住宅または賃貸住宅(貸家)として利用すること、新築から取得までの期間が1年以内であることなどです。

たとえば、建物の固定資産税評価額が2,500万円の場合、1,200万円を控除した1,300万円が課税標準となり、税率3%をかけると税額は39万円になります。
この特例を受けるには、取得後に都道府県税事務所へ申告が必要であり、床面積が40㎡未満のワンルームなどは対象外となるため注意が必要です。

中古住宅の場合も、一定の条件を満たせば「課税標準の特例」が適用され、家屋(建物)部分の固定資産税評価額から控除額を差し引くことができます。ただし、新築住宅よりも控除額が小さく、適用要件もやや厳しく設定されています。

具体的には、控除額は築年数や耐震基準の適合状況によって異なり、たとえば昭和57年1月1日以降に新築された住宅、または耐震基準適合証明書等で耐震性が証明された住宅であれば、1,200万円の控除が受けられるケースがあります。

一方、それ以前の建物の場合は、耐震改修工事を行い、取得日までに工事が完了していること、さらに耐震基準適合証明書を取得していることが条件となります。控除を受けるには、新築同様、一戸あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下であることも必要です。

たとえば、評価額が2,000万円の中古住宅で、1,000万円の控除が適用される場合、課税標準は1,000万円となり、税率3%で計算すると税額は30万円になります。投資用ワンルームの場合、多くが40㎡未満であるため、この特例を受けられないケースが大半です。

また、要件を満たせばさらに土地の不動産取得税から控除を受けられる特例もあります。

特例の内容や要件については、変更となっている可能性がありますので、詳しくはそれぞれの自治体HP等で確認してください。

ワンルームが特例・免税を使いにくい理由

税率の特例は住宅用として3%が適用されますが、課税標準の特例や免税点はほぼ対象外です。
面積の条件を満たせないこと、評価額が免税点を超えてしまうことが主な理由です。
そのため、実際の計算では「評価額満額 × 3%」となる場合が多くなります。

不動産取得税の計算シミュレーション

不動産取得税は、 「課税標準(固定資産税評価額) × 税率」で求めます。
シンプルな式ですが、ここに税率の特例課税標準の特例が絡むため、最終的な金額は物件の条件によって変わります。

課税標準とは

課税標準は、固定資産税評価額をもとにします。
評価額は市区町村が3年ごとに見直す価格で、市場価格より低めに設定されるのが一般的です。
購入価格とは異なり、登記後に自治体から届く固定資産税通知などで確認できます。

課税標準の特例が使える場合は、この評価額が軽減されます。
たとえば新築住宅で一戸あたり床面積が40㎡以上240㎡以下なら、土地の評価額が1/2になる制度があります。
しかし、投資用ワンルームの多くは20〜30㎡台のため、この条件を満たせません。
結果として評価額は満額で計算されることがほとんどです。

税率の特例

前項で税率は原則4%ですが、土地と住宅には3%が適用されます。
この3%は令和9年3月31日取得分までの時限措置です。
ワンルームマンションも住居部分であれば住宅用に該当するため、税率は3%で計算されます。

区分 税率
土地 3%
住宅 3%
住宅以外 4%


新築マンション購入時の例

  • 土地の固定資産税評価額:1,400万円
  • 建物の固定資産税評価額:3,200万円
  • 専有面積:55㎡(40㎡以上→新築の特例対象)
  • 持分土地面積:70㎡相当

建物の不動産取得税
控除後の課税標準=3,200万円 − 1,200万円 = 2,000万円
税額=2,000万円 × 3% = 60万円

土地の不動産取得税
課税標準=1,400万円 × 1/2 = 700万円
税額=700万円 × 3% = 21万円

土地については、さらに床面積に要る控除が適用されるため、最終的な税額は大きく軽減されます。


不動産取得税以外に購入時にかかる税金

マンションを購入するときには、不動産取得税のほかにもさまざまな税金が発生します。
ここでは特に発生頻度が高い「登録免許税」と「印紙税」について解説します。

登録免許税(登記時)

登録免許税とは、不動産の権利関係を法務局に記録する「登記」を行うときにかかる国税です。
マンションを購入する際には、物件の状況や購入形態に応じて複数の登記が必要となり、それぞれに税金が発生します。

主な登記の種類と概要

  1. 所有権保存登記
     新築マンションを初めて登記簿に登録する場合に必要です。まだ誰の名義にもなっていない建物に、初めて所有者としての名前を記載します。
  2. 所有権移転登記
     中古マンションを購入した際、売主から買主に名義を移すための登記です。不動産売買で最も多く利用されます。
  3. 抵当権設定登記
     住宅ローンを利用する場合、金融機関が担保権を設定するための登記です。ローンを完済するまで抹消できません。

税率(原則)

登記の種類 税率(原則) 計算方法
所有権保存登記 0.4% 固定資産税評価額 × 0.4%
所有権移転登記(売買) 2.0% 固定資産税評価額 × 2.0%
抵当権設定登記 0.4% 借入金額 × 0.4%

税率軽減の特例について

登録免許税には、住宅用建物に対して税率を引き下げる特例があります。
ただし、この軽減は自己の居住用かつ床面積50㎡以上(中古の場合)などの要件を満たす場合に限られるため、専有面積が20〜30㎡台の投資用ワンルームでは適用外となるケースが大半です。
そのため、実務上は固定資産税評価額や借入金額に原則税率をかけて計算することになります。

支払いのタイミングと方法

登録免許税は、登記申請のときに一括で納付します。
多くの場合、司法書士に登記手続きを依頼し、

  • 登録免許税(実費)
  • 司法書士報酬(数万円〜10万円程度)
    をまとめて支払います。司法書士は金融機関や売主との調整も行うため、報酬は単なる代行費用ではなく、取引を安全に進めるための必要経費ともいえます。

投資用マンションオーナーの注意点

評価額は売買価格ではなく固定資産税評価額を基準に計算されるため、事前に確認が必要です。
中古購入時にローンを使う場合、所有権移転登記と抵当権設定登記の2種類が同時に発生します。
また、税率軽減特例はほぼ使えないと想定して資金計画を立てる方が安心です。

印紙税(契約書)

印紙税は、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書(ローン契約書)など、課税文書を作成したときにかかる国税です。
契約書に収入印紙を貼り、消印をして納税します。電子契約の場合は印紙税が不要になるため、最近は電子契約を選ぶ取引も増えています。

対象となる契約書

  • 不動産売買契約書
  • 金銭消費貸借契約書(ローン契約書)
  • 工事請負契約書(建築請負の場合)

投資用マンションの購入では、不動産売買契約書とローン契約書の2種類が対象になるケースが多いでしょう。

印紙税額の目安(売買契約書)

印紙税額は、契約書に記載された売買金額によって決まります。
令和8年3月31日までの軽減税率は以下の通りです。

契約金額印紙税額(軽減後)
500万円超〜1,000万円以下5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下10,000円
5,000万円超〜1億円以下30,000円

たとえば、売買金額が2,500万円の投資用マンションなら、売買契約書1通につき1万円分の収入印紙が必要です。
契約書を2通作成する場合(売主・買主双方が原本を持つ場合)は、それぞれに印紙を貼ります。

金銭消費貸借契約書(ローン契約書)の印紙税

ローン契約書にも印紙税がかかります。借入金額に応じて税額が変わり、例えば2,500万円の借入であれば2万円程度の印紙税が必要です。こちらも軽減措置がある場合があります。

投資用マンションと印紙税の注意点

  • 自己居住用と違い、税額や軽減の可否は変わりません
  • 紙の契約書だと売買契約・ローン契約の両方で印紙代が発生するため、数万円単位の出費になることもあります
  • 電子契約なら印紙代は不要になるため、コスト削減効果が大きいです

印紙税の支払い方法は?

印紙税は契約時に収入印紙を購入し、契約書に貼り付けて消印します。
不動産会社や金融機関が準備してくれることもありますが、最終的な負担者は契約内容で決まります。
経費として計上できるため、確定申告時に忘れずに控除対象にしましょう。


まとめ

投資用マンションの場合、自分や家族が住む住宅と違い、住宅用特例が使えないケースが多いため、不動産取得税や登録免許税の課税額が高めになりがちです。

購入前に、固定資産税評価額や税率を把握しておくことはもちろん、諸費用を含めた総額を試算し、資金計画に十分な余裕を持たせることが重要です。

さらに、税額の見込みや特例の適用可否については、司法書士や税理士など専門家に事前相談しておくと安心です。想定外の出費を防ぎ、スムーズな取引に繋げられるでしょう。


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