税金で失敗しない!投資マンションを売却する前に絶対に知っておくべきこと

コラム紹介

なぜ「税金の知識」が投資マンションの売却に欠かせないのか

■売却時に発生する“譲渡所得税”とは?

投資用マンションを売却する際、避けて通れないのが「税金」の問題です。
特に注意が必要なのが、譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)と呼ばれる税金。

これは、マンションを売った際に得た利益(譲渡益)に対して課税されるもので、 売却価格すべてにかかるわけではなく、購入時の価格や経費を差し引いた純利益が対象となります。

ただし、計算方法が複雑で、所有期間によって税率が大きく変わるため、 「思った以上に税金を取られてしまった…」という声も少なくありません。

知識があるかどうかで、納税額に数十万円〜百万円以上の差が出ることもあるのです。

今回のコラムでは、売却前に知っておきたい税金に関する内容を解説していきます。

■知らなかったでは済まされない!税金で損する人の共通点

譲渡所得税の負担で損をしてしまう人には、いくつかの共通点があります。

  • ・税金の知識を持たずに“なんとなく”売ってしまう
  • ・売却前に「どれくらい税金がかかるのか」をシミュレーションしていない
  • ・減価償却や取得費加算のしくみを理解していない
  • ・節税できる制度(損益通算や繰越控除など)を活用していない

売却は「物件価格が高ければいい」というものではありません。
税引き後に手元に残る金額が、実質的な利益になります。

そのためには、事前に税金のしくみを理解しておくことがとても重要です。


|投資用マンション売却時にかかる税金の種類【2025年最新版】

投資用マンションを売却する際には、さまざまな税金が発生します。
「いくら税金がかかるのか分からない」「後から思わぬ出費が…」とならないためにも、事前に押さえておくことが大切です。
ここでは、2025年時点で知っておきたい代表的な税金とその内容について、わかりやすく解説します。

① 所得税・住民税(譲渡所得に対して)

投資用マンションの売却で得た利益(譲渡所得)には、 所得税と住民税がかかります。

この税率は、マンションの所有期間が5年を超えているかどうかで異なります。

短期譲渡所得(5年以下)
所得税30%+住民税9% = 合計39%

長期譲渡所得(5年超)
所得税15%+住民税5% = 合計20%

5年というのは「取得日から売却日の属する年の1月1日まで」で判断される点に注意が必要です。

② 住民税の加算制度「復興特別所得税」も要注意

上記の税率に加えて、復興特別所得税(2.1%)が別途上乗せされます。
これは、東日本大震災の復興財源として導入されたもので、現在も継続中です。

たとえば長期譲渡所得であれば、 15%(所得税)に対して2.1%分が加算され、実質の税率は15.315%になります。

小さな数字に見えますが、高額な不動産売却では数万円〜十万円単位の影響が出ることもあるため、 無視できないポイントです。

③ 登録免許税・印紙税・司法書士費用は経費になる?

不動産売却にかかる下記のような費用は、譲渡所得の計算上「譲渡費用」として控除対象になります。

  • 売買契約書に貼付する印紙税
  • 所有権移転などの登記にかかる司法書士報酬や登録免許税
  • 不動産仲介会社への仲介手数料

これらをしっかり計上することで、譲渡所得(課税対象額)を減らすことができ、結果的に納税額を抑えられます。

領収書や契約書はきちんと保管しておきましょう。

④ ワンルームマンション投資でも使える「取得費加算」って?

あまり知られていませんが、投資用マンションを相続した場合などに一定の条件を満たしていれば、 相続時に支払った相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」を使うことができます。
この制度を活用すると、譲渡所得を圧縮できるため、結果的に納税額を軽減できる可能性があります。

たとえば、相続税を500万円支払った場合、そのうち対象となる金額を物件の取得費に上乗せできれば、 売却益が圧縮され、課税対象額が少なくなります。

ただし、適用には細かな要件(相続税の申告期限内に譲渡すること等)があるため、 事前に税理士など専門家に相談することをおすすめします。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例について<国税庁>

また、取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費として計算する「概算取得費」も利用できますが、 これは通常よりも不利になるケースが多いため、なるべく正確な取得費を確認することが大切です。


|譲渡所得の計算方法をわかりやすく解説

■「譲渡価格」と「取得費・売却費用」の差額がカギ

譲渡所得の基本的な計算式は、以下のようになります。

譲渡所得 = 譲渡価格(売却額) −(取得費 + 譲渡費用)
たとえば、2500万円で購入したワンルームマンションを3000万円で売却し、 仲介手数料や登記費用で100万円かかった場合、

→ 3000万円 -(2500万円 + 100万円)= 400万円(譲渡所得)

この400万円に対して、前述の税率が適用されることになります。

■減価償却費が“税金に不利に働く”って本当?

不動産投資では、建物部分について減価償却を行いますが、この分だけ取得費が減るため、売却時の譲渡所得が増える=課税額が増えるという結果になります。

減価償却は節税効果のある制度ですが、 「売るときに思ったより税金が高くなる」という落とし穴も。

たとえば、当初の建物取得費が1500万円でも、長年の減価償却により帳簿上の価値が800万円まで下がっていれば、 売却価格から差し引ける取得費は800万円になります。

計算の際には「減価償却後の価格」で評価されることを理解しておくことが重要です。

減価償却について詳しくはこちらの記事もどうぞ
ワンルームマンション投資の成功には耐用年数と減価償却が重要!寿命との違いも

■実際にどれくらい税金がかかるの?シミュレーションで比較

以下は一例です。

  • 購入価格:2500万円(建物部分1500万円・土地部分1000万円)
  • 減価償却後の建物取得費:800万円
  • 売却価格:3200万円
  • 仲介手数料や登記費用など:100万円

譲渡所得 = 3200万円 −(800万円 + 1000万円 + 100万円)= 1300万円

税率(長期譲渡):約20.315%

→ 納税額:約264万円

条件や物件の状況によって大きく異なりますが、 税金は「あとから来る見えないコスト」です。
売却前に必ずシミュレーションを行い、 手取り額を正確に把握することが、後悔しない取引につながります。

次のセクションでは、譲渡所得税をなるべく抑えるための具体的な節税テクニックをご紹介します。

|税金を抑える!投資用マンション売却の節税術

長期譲渡と短期譲渡の違いを活用する

先述のとおり、所有期間が5年を超えると税率が約半分になります。
売却時期を1月1日以降にずらすことで「短期」から「長期」に切り替わる場合、納税額が大きく変わります。売却を急いでいない場合は、スケジュールを見直すことで節税につながることもあります。

譲渡損失が出る場合は「繰越控除」の活用を検討

投資用マンションを売却して損失が出た場合でも、一定の条件を満たせば税金面での対策が可能です。

投資用不動産の譲渡による損失は、原則として給与所得など他の所得とは損益通算できませんが、
適切な申告を行えば、その譲渡損失を翌年以降最大3年間まで繰り越して、将来の譲渡益と相殺することができます。

たとえば、今年売却した物件で300万円の損失が出ても、翌年以降に別の物件を売却して利益が出れば、
その利益から繰り越された損失を差し引くことで、課税対象額を抑えることができます。

一度の損失を無駄にせず、次の売却に備えるためにも、忘れずに確定申告をしておくことが大切です。

譲渡前に必要経費を正しく整理する

売却前にかかった経費や、登記費用、仲介手数料、修繕費などをきちんと整理しておくことで、課税対象の譲渡所得を圧縮できます。
見落としがちな費用も多いため、売却を検討し始めたら領収書類をこまめに保管しておくことが大切です。

売却年のほかの控除とバランスを取る

売却によって所得が大幅に増える年は、ふるさと納税の控除枠も広がるため、うまく活用すると住民税の負担軽減に役立ちます。
医療費控除や住宅ローン控除の対象と重なる人は、全体の税負担を見ながら申告の準備をしておくと安心です。

このように、ちょっとした工夫や知識で、投資用マンション売却時の税金は大きく変わってきます。税理士などの専門家に相談しながら、最適なタイミングと準備をしていきましょう。

|法人名義と個人名義、それぞれの売却税務の違い

■個人で所有する場合のポイント

個人名義で投資用マンションを所有している場合、売却によって発生する譲渡所得は、先に述べたように所得税・住民税・復興特別所得税の対象になります。所有期間によって短期・長期の税率が適用される点も同じです。

ただし、個人の場合は給与所得など他の所得と通算されず、あくまで分離課税として独立して計算されます。そのため、所得控除や扶養控除などの影響を受けにくい一方で、収入が多い年に売却すると税負担が重く感じられることもあります。

■法人で所有する場合のポイント

一方、法人名義でマンションを保有・売却する場合は、譲渡益は法人の通常の所得として「法人税」が課されます。

法人税は利益全体に対して課税されるため、売却益だけでなく事業の他の損益と合算して税額が決まります。たとえば、売却で利益が出たとしても、法人全体が赤字であれば税額が抑えられることもあります。

また、減価償却や修繕費、接待交際費なども法人ではより柔軟に経費計上ができる点が特徴です。

一方で、法人設立や運営にはコストがかかるため、長期的な不動産事業を前提とするケースでなければ節税効果が小さい可能性もあります。

個人と法人、どちらで保有すべきかは、所得状況や投資方針によって異なります。売却前に専門家と相談し、最適な形を見極めておくと安心です。


|税金トラブルを避けるために、事前にできる5つの準備

投資用マンションを売却したあとに後悔しないためには、事前の準備が欠かせません。
ここでは、税金に関するトラブルや予想外の出費を防ぐために、売却前に確認しておきたい5つのポイントをご紹介します。

1. 売却前に「取得時の契約書・費用明細」を整理する

取得時の売買契約書、領収書、諸費用の明細などをしっかり揃えておくことで、正確な取得費の算出が可能になります。
書類が不足していると概算取得費扱いとなり、不利な課税を受ける可能性があります。

2. 減価償却の履歴を確認する

建物の減価償却額を正確に把握しておくことで、取得費の計上ミスを防げます。
特に税理士に任せきりにしていた場合でも、申告書の控えや決算書類を見直しておきましょう。

3. 売却益が出そうな年の収入状況を把握する

その年の給与所得や他の所得とあわせて、課税額がどの程度になるかを試算しておくことが重要です。
必要であれば、ふるさと納税や医療費控除などと併せて調整を図ることも検討しましょう。

4. 税理士や管理会社との情報共有を早めに行う

売却が決まってからではなく、売却を検討する段階から税理士に相談することで、より正確で有利な申告準備が可能になります。
複数物件を保有している場合は、管理会社にも事情を共有しておくとスムーズです。

5. 複数物件のオーナーは通算損益の試算も忘れずに

売却によって利益が出る物件もあれば、赤字の物件もあるかもしれません。
損益通算できる場合とできない場合の差を見極め、トータルでの納税戦略を組み立てることが、結果的に賢い投資行動につながります。


まとめ|後悔しない投資マンション売却には、税金対策がカギ

投資用マンションを売却する際、最も重要なのは「税引き後にいくら残るか」です。見た目の売却価格や査定額だけで判断すると、税負担によって大きく手取りが減ることもあります。

税金の知識を持っているかどうかが、数十万円以上の差となって現れるのが不動産売却です。

税理士や不動産会社と連携し、節税の観点も含めた戦略を立てることで、売却後に後悔しない結果につながります。

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税引き後の手取りをしっかり見据えたご提案が可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。



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