ワンルームマンション投資をされている方なら、避けては通れない確定申告。
毎年原則2月16日〜3月15日の間に申告するように定められています。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」のどちらかを選びますが、その違いをご存知でしょうか?
今回のコラムでは、青色申告・白色申告それぞれのメリットや注意点も含めて解説します。
ご自身にとってどちらが適しているのか参考にしてみてください。
不動産所得がある方なら、ワンルームマンション一室からでも青色申告が可能です。
ただし最大の65万円の特別控除を受けられるか、もしくは10万円特別控除の対象になるかは事業規模によって判断されます。
事業的規模として判断される基準は厳しく設定されており、
「マンションは10室以上、戸建ては5棟以上」という規模で物件を運用している必要があります。
ちなみに不動産所得とは、賃貸経営により得られる家賃収入のことで、不動産売買した際の利益は譲渡所得となりここでは対象ではありません。
青色申告をする主なメリットは以下のようなものがあります。
・最大65万円の特別控除が受けられる
・事業規模でなくても10万円の特別控除を受けられる
・赤字の繰り越しができる
・貸倒引当金を設定できる
それぞれご説明していきます。
青色申告をすれば、最大65万円の特別控除を受けることができますが、55万円または65万円の対象となるためには以下のような条件があります。
・事業的規模であること(マンション10室以上:戸建て5棟以上)
・複式簿記によって記帳すること
・青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書の計4枚)を用いて申告すること
・(65万円控除には)e-TAXによる申告、もしくは電子帳簿保存を行うこと
特別控除は、不動産投資の収益に黒字が出た場合に適用されます。
青色申告には、「10万円の特別控除」が受けられる種類もあります。
事業規模の条件が満たない場合であっても適用され、マンション1室からでも申請可能です。
不動産所得が少しでもある場合は、青色申告での確定申告も検討してみてください。
不動産投資が赤字経営となってしまった場合、本業の給与所得などと損益通算することが可能です。
さらに青色申告であれば、赤字を3年間まで繰り越して損益通算することができます。
例えば賃貸事業を始めて、1年目が赤字、2年目が赤字、3年目は黒字となった場合、
1年目と2年目の赤字分を、3年目の黒字と相殺して申告することができます。
給与所得などから損益通算をしても赤字が残ってしまう場合、翌年以降3年間にわたり繰り越せることは青色申告の大きなメリットと言えるでしょう。
入居者が家賃を滞納したりなど、回収できない賃料が発生する可能性があります。
貸倒引当金とは、そのようなリスクに備えて一定額を引当金として計上することを言います。
事業規模の対象となる場合は、貸倒引当金の繰入れを必要経費として計上することが可能です。
青色申告をするための注意点は以下のような点があげられます。
・前もって税務署への届出が必要
・65万円の特別控除を受けるには、複式簿記での記帳が必要
青色申告での確定申告を希望する場合、その年の3月15日までに(もしくは開業から2ヶ月以内に)「個人事業の開業届」と一緒に「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出しておく必要があります。
令和6年に「令和5年分の申告」を青色申告で行いたい場合、
令和5年の3月15日までに届出をしておかなければならないということになります。
届出をしていない場合は、自動的に白色申告での確定申告となります。
青色申告で「55万円または65万円の特別控除」を受けるためには、複式簿記で記帳しておく必要があります。
簿記の方法には2種類あり、複式簿記では「借方」と「貸方」という概念を用いて少し複雑に正確な帳簿を作成していくことになります。
事業規模ではない方の青色申告では、収支のみを帳簿につける単式簿記で申告が可能です。
家計簿に似てシンプルな内容なので、誰でも簡単に記帳することができます。
ここまででご説明したとおり、青色申告の承認手続きをしていない方は自動的に全員白色申告となります。
白色申告だと事前の手続きの手間はありませんが、特別控除もなく、赤字の繰越しもできないため特に選ぶメリットはないと言えます。
以前では、少額の所得しかない白色申告者には帳簿の作成や保管の義務はありませんでしたが、現在は制度が変わりその作成と保管が義務付けられています。
したがってどちらにしても帳簿の作成が必要になるため、多少の手間は増えてしまいますが、税負担を減らすためには青色申告を選ぶことがおすすめです。
青色申告は一度申請しておくと毎年特別控除などのさまざまなメリットを受けられます。
今は白色申告で準備をしている方も、3月15日までに申請しておくことでその次の年からは青色申告での確定申告が可能です。
現在はインターネットの記事や動画などでも、帳簿の付け方や書類作成のポイントなど学べる機会がたくさんあります。
ご自身の状況に合わせて、青色申告で手続きも検討してみてくださいね。