ワンルームマンション投資をはじめたものの、金額の大きな債務を目の前にすると、最悪の場合「自己破産」してしまうのではと心配になりますよね。
「ワンルームマンション投資でも自己破産は起こりえるのか」
「自己破産してしまうとどうなるの」
そのような不安を抱える方に向け、本記事では、自己破産に至ってしまう原因や、自己破産後のリスクなどについてまとめています。ワンルームマンション投資での自己破産を回避する方法もお伝えしていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ワンルームマンション投資でも、自己破産という最悪の結果になってしまうことが、あり得ます。
ほとんどのワンルームマンション投資家は金融機関から大きなローンを組んで運用を始めるため、さまざまな原因により返済ができなくなってしまうと、自己破産につながる可能性があります。 自己破産に至ってしまう原因として、5つのパターンを紹介します。
事前のキャッシュフローシミュレーションが正しくないと、返済滞納につながります。
初心者で不動産投資を始める場合、不動産業者からの良い情報を鵜呑みにして、正しいキャッシュフローを理解できていないケースは少なくありません。
不動産投資には、毎月の返済額以外にも、必要な支出がいくつもあります。
・管理費や修繕費などのランニングコスト
・空室時の自己資金持ち出し
・サブリース契約の委託料
など、必要な出費がすべて考慮されている利回り計算になっているか、確認が必要です。
そもそも不動産業者との契約時点で、投資家に不利な条件になってしまっている場合があります。
不利な条件下では、時間をかけても利益が積み立てられず、高値での売却もできません。
不利な条件とは、
・相場よりも高い物件価格で購入している
・地域の賃料設定に見合っておらず、入居者がつかない
・諸費用や金利が高い
など、投資初心者の知識の少なさにつけ込んだ内容のことです。
そのまま放置してしまうと、支出額を家賃収入でまかないきれなくなっていきます。
不動産投資の成功のためには、立地条件は重要なポイントのひとつです。
立地選びに失敗すると、投資額を回収できず、損益ばかり増えてしまいます。例えば、立地周辺の環境が変化したために需要が下がってしまうリスクがあります。
その場合、入居者がつかず、賃料を下げざるを得なくなるうえ、売却価格も低くなってしまいます。事前に、安定した居住需要があるエリアかしっかり調査することと、大きな環境変化がないことを確認することが大切です。
自己破産に至ってしまうケースで最も多い原因は、「空室」が続くことです。
空室になると、さまざまな費用を自己資金から出資する必要があります。
一般的なワンルームマンション投資の1室の運用では、毎月の返済額は数万円から十数万円ですが、複数の物件を同時運用していたり、空室が何ヶ月も続けば、大きな額になります。
さらに、入居者を募るために、修繕や広告に投資が必要なこともあります。
本業が充実している方でも、どのくらいの期間なら自己資金でまかなえるかを、あらかじめ心得ておくと良いでしょう。
融資可能額と返済可能額が同じと捉えてしまっている方もいます。
およそ年収の5倍から10倍の額の融資なら、金融機関の審査に通るといわれています。しかし、融資可能と聞いて、他の人も払っているから安心と思い込んでしまうことは危険です。
生活スタイルや運用状況によって、個人の返済可能額は異なって当然です。
返済可能額以上の融資を抱えてしまうと、家賃収入がない期間の出費に耐えられなくなる可能性が高くなります。
ワンルームマンション投資で、自己破産に至ってしまうまでには、どのような課程があるのでしょうか。
回避のためにも、流れを把握しておきましょう。
収支バランスが崩れると、返済額の不足分を自己資金から出費していきます。 不足分の出資が本業での収入でもまかなえなくなると、返済が滞ります。
返済の停滞が続くと、金融機関は何度か督促状を送り、返済を催促します。
督促状の反応がなく、おおよそ3ヶ月以上返済が滞ると、「投資失敗」と判断する金融機関が多いようです。債権の回収が見込めないと判断されると、金融機関は、抵当権を差し押さえたり、一括での返済を請求したりできるようになります。
金融機関が投資失敗と判断すると、サービサーに債権が売却されることがあります。
サービサーとは、債権の管理や回収を行う、国の許可を受けた民間業者のことです。
債権を持つ金融機関は、債権額を少しでも回収するため、債権額より低い価格でサービサーに買ってもらうことができます。サービサーに債権が売却されると、投資家はサービサーから債務を迫られることになります。
当然ながら、返済ができない投資家からは充分な債権回収は見込めないため、サービサーは物件を売却することで資金を回収しようとします。
負債物件の売却には、主に2つの方法があります。
・競売:債権者の裁判所への申し立てによって、担保物件を差し押さえ、強制的に売却した代金から債権を回収する手続き。早期に債権を回収するため、相場より低い価格で「叩き売り」されてしまう。
・任意売却:任意売却の専門業者の仲介により進められる売却。売却するためには抵当権を抹消する必要があるため、債権者との交渉が認められれば債権額よりも低い価格で抵当権を抹消し売却が可能になる。相場に近い価格になる傾向がある。
いずれの方法でも、売却額が債務額より小さい場合、残債が残ります。
自己破産に至るケースは、金融機関やサービサーが介入して物件を売却したとしても、大きな額の残債が残ってしまう場合です。
競売や任意売却を経ると、物件は手元にないものの債務だけが残るので、投資はできないが返済をしなければならない状況になります。自己資金や本業の収入での返済がどうしても不可能な場合は、裁判所に自己破産を申請する判断になります。
自己破産には、債務をリセットできる代わりに、その後長く続くデメリットがあります。 身に起こる事態を理解しておき、事前対策に目を向けるきっかけにしてください。
自己破産すると、債務は全て免除になります。
ただし、裁判費用など、債務整理に必要な債務以外の費用は、支払う必要があります。
自己破産すると、自身の財産のほとんどを処分しなければなりません。
・99万円以上の現金
・住居、車、貴金属など、一定以上の価値がある財産
これらは、裁判所の権限で処分されます。
ただし、最低限の生活ができる財産は残すことができます。
自身の財産を大きく越える債務や、最低限の生活もできなくなる可能性のある債務には、自己破産が有効です。
自己破産をすると、信用情報機関のブラックリストとして登録されます。
およそ10年ほどは、ローンを組んだり、クレジットカードを作る審査に通らなくなってしまう可能性があります。
また、官報に名前が記載されます。
官報は、誰でも閲覧ができるため、周囲に知られてしまう可能性もあります。
自己破産を防ぐための有効な対策は、物件の早期売却です。
運営利益と売却利益のトータルで成功かどうかを判断する不動産投資では、適切なタイミングで売却することが重要です。赤字が続きそうと感じるときは、損が大きくならないうちに、売却を検討しましょう。
自己破産に至ってしまう方は、返済ができなくなってからも、打つ手がなくなるまで放置してしまう傾向があります。本記事で紹介した自己破産につながる5つの原因のうち、ひとつでも当てはまると感じたときは、早期に売却を検討しましょう。
見栄や罪悪感のために、すべての財産を失ってしまう必要はありません。
また、キャッシュフローについて不安がある方は、不動産投資に特化したパートナー企業を見つけ、相談することをおすすめします。手軽に始められる不動産投資とはいえ、大きなリスクがあることには違いありません。
信頼できるパートナー企業に相談し、適切なタイミングで売却することが、投資成功への道です。