マンション投資の確定申告はこれを見ればOK!経費・減価償却・損益通算まで全部わかる完全版

コラム紹介

投資用マンションを所有していると、毎年必ず向き合わなければならないのが「確定申告」です。
家賃収入がある以上、申告手続きは避けて通れませんが、青色申告と白色申告のどちらを選ぶべきか、事業的規模の判断基準は何か、経費にできるものはどこまでかなど、疑問や迷いが生まれやすい分野です。

また、減価償却費や損益通算といった仕組みを正しく理解しているかどうかで、手元に残るお金に大きな差が出る点も特徴です。

この記事でわかること
  • 確定申告が必要になる条件
  • 青色申告と白色申告の違いと選び方
  • 確定申告のよくある疑問と回答
  • 確定申告の流れ
  • 損益通算の仕組みと注意点
  • 認められる経費・認められない経費の具体例
  • 減価償却費の計算と考え方
  • 売却時にかかる税金の基本
  • 節税効果を最大化するポイント


本記事では、投資用マンションの確定申告について、基本からわかりやすく解説します。
初めての方から複数物件を運用している方まで、「何をすればいいのか」「どの申告方法を選ぶべきか」「どこまで経費にできるのか」をひとつずつ整理できる内容です。

確定申告の理解を深め、適切な節税と安定した運用につなげるために、ぜひ最後までご覧ください。

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投資用マンションと確定申告の基本

投資用マンションを所有すると、家賃収入や経費、減価償却などの収支が発生するため、税務上の取り扱いが給与所得とは異なります。特に「確定申告が必要かどうか」「申告を怠った場合のリスク」「いつまでに手続きするべきか」などは、最初に必ず押さえておくべき基本事項です。

以下では、投資用マンションの確定申告における前提を整理し、最初に知っておくべきポイントを解説します。

 

確定申告が必要なケースとは?

投資用マンションの収益は「不動産所得」に分類され、以下の条件に該当する場合、確定申告が必要になります。

(1)家賃収入が年間20万円を超える場合

会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると申告義務があります。
家賃収入はこの「給与以外の所得」に該当するため、20万円を超えれば申告が必要です。

ただし、後述の「減価償却費」「経費」を差し引いた後の所得で判断します。

 

(2)給与所得者以外の場合は、所得金額に関係なく申告が必要

自営業者・専業投資家など、給与所得者でない場合は、家賃収入の有無に関わらず確定申告が必要です。

 

(3)赤字でも申告が必要になるケース

不動産投資は、減価償却の影響で帳簿上の赤字になることがあります。

赤字でも申告すれば、
・損益通算
・赤字の繰越控除
を受けられるため、節税効果は大きくなります。

 

(4)源泉徴収されていない所得がある場合

礼金・更新料・駐車場収入・共益費など、源泉徴収されない所得は、申告して初めて正しい税額になります。

 

不動産投資をしたら全員が申告する必要はある?

結論としては 「ケースによる」 ということになります。

家賃収入があっても、以下の条件に該当すると申告義務がない場合からです。

(申告義務がないケース)

・会社員で、給与以外の所得(不動産所得を含む)が20万円以下
・源泉徴収されている給与のみで生活しており、副収入がほとんどない
・赤字で、給与所得と損益通算しない(あえて申告しない)場合

ただし、赤字の繰越控除や損益通算など「節税メリット」を得るには、申告しなければ適用されません。

税金を抑えるという観点では、赤字でも申告する価値は非常に大きいと言えます。

 

確定申告の時期とスケジュール

確定申告は、毎年決められた期間に行う必要があります。

申告期間:毎年 2月16日〜3月15日(通常)

※年度により前後することがあります。

 

また、青色申告を選ぶ場合は別途「青色申告承認申請書」を提出する期限が決まっています。

青色申告承認申請書の提出期限:

・新しく不動産所得が生じた年 → その年の3月15日まで

・すでに事業を開始済みの場合 → 原則、青色申告をしたい年の3月15日まで

この期限を過ぎると、その年は白色申告しかできなくなります。

 

<年間の流れ>

1〜12月:不動産収支の記帳、必要書類の整理
翌年1月:書類を集めて準備を開始
2月16日〜3月15日:確定申告を提出
3月15日まで:納税期限

 

確定申告をしないとどうなる?(リスクとペナルティ)

確定申告を怠ると、税務上のペナルティが発生する場合があります。

 

(1)無申告加算税が課される

納めるべき税金があるにもかかわらず、法定の申告期限(原則として翌年3月15日)までに申告しなかった場合に課されます。

状況 課税される税率
税務署の調査通知前に自主的に期限後申告した場合 納付すべき税額の5%
税務署の調査通知後に申告した場合(原則的な税率) 納付すべき税額のうち、50万円までの部分に対して15%
50万円を超える部分に対して20%


【ポイント】 税務署に指摘される前に自主的に申告・納税すれば、税率が大幅に軽減(最大20%→5%)されます。もし遅れてしまった場合は、一日でも早く自主的に申告を行うことが最善の防御策です。

 

(2)延滞税が発生する

納付すべき税金を法定の納付期限までに納めなかった場合に課されます。納付期限の翌日から、実際に納税した日までの日数に応じて日割りで計算されます。

延滞税の税率は、時間が経つにつれて高くなります。また、延滞税は納付額そのものにかかるため、納税が遅れるほど負担が増え続けることになります。

 

(3)青色申告の特典が受けられない

期限内に提出できなかった場合、
・青色申告特別控除
・損益通算
・赤字の繰越控除
が適用されません。

特に65万円控除が受けられない影響は非常に大きいです。

 

(4)税務調査の対象になりやすくなる

無申告や遅延が続くと、税務署からの確認や税務調査のリスクが高まります。

 

(5)過少申告の場合のペナルティ

申告はしたものの、実際より所得を少なく申告していた場合にもペナルティが発生します。

・過少申告加算税
期限内に申告はしたが、税務署の調査などにより、本来よりも税額が少なかったことが判明した場合に課されます。
税率は、新たに納める税額の10%、期限内申告で納めた額と比較して多い部分には15%になります。


・重加算税(意図的な不正があった場合のペナルティ)
所得や経費を意図的に隠蔽または仮装するなど、悪質な不正行為があったと認定された場合に課されます。

【過少申告の場合】 新たに納める税額の35%
【無申告の場合(最も重い】 納付すべき税額の50%

 

確定申告は、税金を正しく納めるだけでなく、節税メリットを享受するための重要な手続きです。
申告を怠ることで失うものが大きいため、毎年のルールに沿って適切に手続きすることが重要になります。



確定申告の種類(青色申告・白色申告)

投資用マンションの所得を申告する方法には「青色申告」と「白色申告」の2つがあります。
どちらも不動産所得の申告方法として認められていますが、節税メリットや提出書類の内容、帳簿付けの難易度などに大きな違いがあります。

マンション投資の規模や、記帳のためにどれだけ手間をかけられるかによって、選ぶべき方式は異なります。以下では、それぞれの特徴と選択基準を整理します。

 

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告の最大の違いは、節税メリットの大きさ必要な手間です。

青色申告は、複式簿記による記帳や事前申請が必要になる一方で、
・最大65万円の青色申告特別控除
・赤字の繰越控除
・青色事業専従者給与の活用

など、多くの税務上の優遇があります。

一方、白色申告は、手間が少ない反面、これらの優遇措置がありません。

どちらを選ぶかは、
・物件の保有規模
・簿記の知識
・節税意識の高さ
によって判断する必要があります。

 

青色申告が有利と言われる理由

青色申告が選ばれる最大の理由は、節税効果が非常に大きい点にあります。

(1)最大65万円の青色申告特別控除
正規の複式簿記で帳簿をつけ、期限内申告・e-Tax利用等の要件を満たすと、65万円控除が適用できます。

(2)赤字の繰越控除が可能(最長3年)
不動産所得が赤字になった場合、翌年以降の所得と相殺できます。

(3)青色事業専従者給与を経費にできる
配偶者や親族が管理業務を手伝っている場合、その給与を経費計上できます(事業的規模が前提)。

(4)事業として継続的に運用していると認められやすい
複数物件を所有するオーナーにとって、税務的にも安定した申告方式です。

特に、減価償却が大きく取れる中古マンション投資では、青色申告を活用することで「帳簿上の赤字を作りながら手元現金を残す」という戦略が成立します。

 

白色申告が向いているケース

白色申告は、手続きが簡易であるため、以下のようなケースで選ばれます。

(1)物件が1室のみで規模が小さい場合
収支も比較的単純で、記帳負担を軽くしたい方に向いています。

(2)不動産所得がほぼ黒字にならない場合
赤字の繰越控除による節税効果が期待できないケースでは、白色申告でも大きな差が出ないことがあります。

(3)とりあえずまずは簡単に始めたい場合
会計ソフトに慣れていない方や、投資開始初期のオーナーにも選ばれやすい方式です。

ただし、白色申告では
・赤字の繰越不可
・家族給与を経費にできない
・特別控除がない
ため、長期的な運用を前提とする場合は青色に移行する方が一般的です。

 

青色申告・白色申告の比較表

以下は、確定申告の種類を比較した表です。

項目 青色申告 白色申告
申告方法 事前申請が必要 事前申請不要
帳簿付け 複式簿記(手間がかかる) 単式簿記(簡易)
主なメリット 65万円控除/繰越控除/専従者給与 手間が少ない
赤字の繰越 3年間可能 原則不可
専従者給与 家族に支払う給与を経費にできる 事業主控除のみ


選び方のポイント(事業規模・簿記知識・節税効果)

投資用マンションの確定申告では、「青色申告」と「白色申告」のどちらを選ぶかによって、税負担や経費の扱いが大きく変わります。

選択の際に重要となるのが、事業規模・簿記知識・節税効果の3つの視点です。それぞれの観点から判断基準を整理すると、状況にあった申告方式が明確になります。

 

(1)事業規模で判断する

保有物件が大きいほど、青色申告のメリットは大きくなります。

・戸数が多い
・収支が複雑になる
・家賃収入の金額が増える

こうしたケースでは、最大65万円の青色申告特別控除や赤字繰越控除など、青色特有の税制優遇が実効性を持ちます。

特に、一般的な目安である「5棟10室基準」を満たす場合は、青色申告による節税効果が顕著です。事業的規模と見なされる可能性が高いため、専従者給与や損益通算など、運用全体でのメリットが増します。

 

(2)簿記の知識と手間で判断する

青色申告は複式簿記が必要となり、帳簿作成の手間が増えます。しかし、近年は会計ソフトが普及しているため、簿記の専門知識がなくても対応しやすくなっています。

・簿記に抵抗がある
・とりあえず簡単に始めたい

こうした場合は白色申告が適しています。

一方、
・手間をかけても節税効果を高めたい
・帳簿管理をしっかり行いたい
・今後物件を増やす予定がある

という方は青色申告が向いています。

 

(3)節税効果を重視するかどうか

節税を最大化したいオーナーにとって、青色申告は大きな武器になります。

・最大65万円の青色申告特別控除
・赤字を翌年以降に繰り越せる
・家族への給与を経費にできる(事業的規模)

これらは、長期的なマンション経営において大幅な節税につながります。

収支が安定していて大きな節税メリットが生まれない場合は白色申告でも運用できますが、多くの場合は青色申告へ切り替えることで税負担を減らしやすくなります。



不動産投資の事業的規模とは?

不動産賃貸が「事業」として扱われるかどうかは、税務上の優遇に直結します。
結論として、5棟10室の基準を満たすほど節税メリットが大きくなり、青色申告特別控除や損益通算などの恩恵を最大限に受けられます。
反対に、規模が小さい場合はできることに制限があり、扱いも異なります。

ここでは、事業的規模の定義、判断基準、そして認められた場合に何が変わるのかを整理します。

 

1.事業的規模の定義

事業的規模であるかどうかは、法律で明確に定められているわけではありませんが、実務上の一般的な判断基準として「5棟10室基準」が用いられています。

①独立した建物が5棟以上
②独立した部屋が10室以上

どちらか一方を満たせば、事業的規模として扱われる可能性が高くなります。
ただし、最終判断は「実態」に基づいて行われるため、戸数や棟数だけでなく、賃貸経営を継続的に行っているかどうかも考慮されます。

 

2.税務上の判断基準(独立性・管理状況など)

事業的規模の判定は五棟十室の数だけでなく、以下のような実務要素を総合的に見て判断されます。

・部屋や建物が独立して貸し出されているか
・継続的に賃貸業務が行われているか
・入居者管理・募集活動など、事業としての実態があるか
・設備や用途が居住用として成立しているか

典型的には「5棟10室基準」が満たされていれば問題ありませんが、戸建賃貸が複数ある場合や、用途が異なる物件が混在する場合は、実態に応じて判断されます。

 

3.事業的規模と認められると何が変わる?

不動産賃貸が事業的規模と判定されると、税務上で受けられるメリットが大きく広がります。特に青色申告と組み合わせた場合、その効果はさらに強力です。

 

1. 青色申告特別控除が最大65万円になる

事業的規模であれば、会計ソフトなどを用いた複式簿記での記帳と期限内申告を満たすことで、65万円の特別控除が適用されます。
事業的規模でない場合は最大10万円にとどまり、控除額に大きな差が生じます。

 

2. 不動産所得の赤字を他の所得と損益通算できる

事業的規模であれば、不動産所得の赤字を給与所得などの他の所得と相殺できます。
その結果、課税所得が減り、所得税・住民税の負担が軽減されます。

規模が小さい場合は、赤字の損益通算に制限がかかるケースがあり、節税効果が限定的になります。

 

3. 赤字(純損失)の繰越ができる

赤字が発生した場合、その損失を最長3年間繰り越し、翌年以降の黒字と相殺できます。
長期的に安定した賃貸経営を考えると、繰越控除は大きなメリットになります。

 

4. 青色事業専従者給与を経費にできる

事業的規模として認められると、生計を一にする配偶者や親族に対して支払う給与を、必要経費として計上できます。
世帯全体での節税効果が期待でき、複数物件を保有する場合には特に有効です。

 

5. 回収不能な賃料を経費にできる

入居者の破産、長期滞納などで回収が不能になった家賃は、事業的規模であればその年の経費にできます。
小規模運営の場合、認められないケースがあります。

 

6. 賃貸物件の取壊し費用を経費にできる

老朽化による取り壊しや建替え時の費用をその年の経費として計上できます。
長期運用を続けるオーナーにとっては重要な扱いです。

 

「事業的規模かどうか」は、節税メリットの大きさ、家族への役務提供の扱い、赤字処理の方法など、多くの点で税務の方向性を左右します。
特に複数物件の保有や今後の買い増しを検討している場合は、事業的規模に該当するかどうかを理解しておくことが、税務計画において重要になります。



よくある疑問と回答(Q&A)

確定申告や青色・白色の選択において、多くのオーナーが迷いやすいポイントをまとめました。
投資規模や働き方により、最適な申告方法や経費の扱いは変わるため、以下のQ&Aで基本的な判断基準を整理しておくと安心です。

 

Q:一部屋だけでも青色申告できる?

【回答】結論として、一部屋のみの保有でも青色申告は可能です。

ただし、事業的規模には該当しないため、受けられる特典には制限があります。

・青色申告特別控除は最大10万円
・青色事業専従者給与は利用不可
・家族への給与は経費にできない

それでも、白色申告と比べれば、「10万円の控除を受けられる」、「赤字の繰越控除(3年間)が使える」
というメリットがあるため、小規模でも青色申告を選ぶ価値は十分あります。

 

Q:事業規模でも白色申告を選んでいい?

【回答】事業的規模であっても白色申告は選択できますが、節税面では大きな損失が生じやすく、一般的には推奨されません。

白色申告の唯一のメリットは
・帳簿が簡易である
という点に限られます。

事業的規模になると収支が複雑になるため、複式簿記による管理の方が精度も高く、長期運用にも適しています。また、青色申告であれば、
・最大65万円の特別控除
・赤字繰越控除
・専従者給与
など節税効果が非常に大きくなります。

記帳の手間は会計ソフトで大幅に軽減できるため、事業規模の場合は青色申告の選択が基本となります。

 

Q:副業の不動産投資で経費になる範囲は?

【回答】副業として不動産投資を行っている場合でも、家賃収入を得るために直接必要な支出は経費にできます。

典型的な例としては、

・管理費・修繕積立金
・火災保険料
・修繕費
・賃貸管理会社への委託料
・減価償却費
・ローン利息(建物部分)
・募集費用(広告料)

などが挙げられます。

一方、給与所得の通勤費や生活費など、賃貸経営と関係がない支出は経費に算入できません。
経費の詳細は後の章で詳しく説明します。

 

Q:青色申告承認申請書はいつまでに提出すべき?

【回答】青色申告を行うには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出する必要があります。

提出期限は以下の通りです。

・新しく不動産所得が発生した年
→ その年の 3月15日まで

・すでに事業を行っている場合
→ 青色申告を適用したい年の 3月15日まで

この期限を過ぎると、その年は白色申告しかできなくなるため注意が必要です。

 

Q:赤字にして節税するのは合法?(よくある誤解)

【回答】不動産投資では、減価償却費の影響で帳簿上の赤字が出ることが多くあります。
これは租税回避ではなく、税法上認められた正常な仕組みです。

・赤字で損益通算する
・赤字を繰り越す
・減価償却費で帳簿上の損失をつくる

これらはすべて合法で、税務署も正式に認めています。

ただし、
・不自然に経費を増やす
・実態のない支出を計上する
といった行為は否認されるため、正しいルールのもとで手続きを行うことが重要です。

不動産投資の赤字は「キャッシュが減る赤字」ではなく、節税効果を生む「帳簿上の赤字」であるため、仕組みを正しく理解することが成功のカギになります。

 

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確定申告の流れ4ステップ

投資用マンションの確定申告は、大きく4つの流れで進みます。手順自体は難しくありませんが、書類の漏れや作成時期を誤るとペナルティが発生する可能性があるため、正しい順序で進めることが重要です。

以下では、初めての方でも迷いなく進められるよう、必要な工程を整理します。

 

① 確定申告が必要かを確認する

最初に確認すべきポイントは、申告義務があるかどうかです。

・給与所得者で不動産所得が20万円を超える場合
・自営業者や専業投資家で所得の種類に関わらず申告が必要な場合
・赤字の場合でも損益通算・繰越控除を活用したい場合
・家賃収入や礼金、更新料など源泉徴収されない収入がある場合

これらのいずれかに該当する場合、確定申告が必要です。

不動産投資は減価償却の影響で帳簿上の赤字が出るケースも多いため、節税目的で申告する価値は大きく、義務がなくても申告した方が有利になることがあります。

 

② 必要書類を準備する

確定申告では、収支・物件・個人所得に関する書類が必要です。
漏れがあると計算に誤りが出るため、次の一覧を参考に整理しておきましょう。

 

収支に関する書類

・賃貸借契約書(家賃収入の確認)
・管理費・修繕積立金の領収書、明細書
・固定資産税の納税通知書
・ローン返済予定表(利息部分の計算に必要)
・火災保険・地震保険の保険証券
・修繕費、交通費、通信費、広告費など各種経費の領収書

 

物件に関する書類

・不動産売買契約書の写し
・登記事項証明書(建物・土地)

 

個人の所得に関する書類

・源泉徴収票(給与所得者の場合)
・本人確認書類(マイナンバー、身分証の写し)

 

特に不動産の収支は領収書や明細の有無で経費計上の可否が変わるため、1年間分をまとめて保管しておくと作業がスムーズです。

 

③ 決算書・確定申告書を作成する

必要な書類の収集と記帳作業が完了したら、いよいよ決算書および確定申告書の作成段階に入ります。

このステップは、オーナー様が「青色申告」を選択しているか、「白色申告」を選択しているかによって、作成する書類と得られるメリットが大きく異なります。

 

青色申告の場合

青色申告を選択している場合は、事業の損益を計算するために「青色申告決算書」を作成します。

青色申告で最大のメリット(65万円控除)を得るためには、「複式簿記」という高度な記帳方法が求められます。

複式簿記とは、すべての取引を「借方」「貸方」の二面から記録し、貸借対照表(バランスシート)と損益計算書を作成できる記帳方式です。

会計ソフトを利用すれば自動仕訳などで作業が大幅に効率化されます。

 

白色申告の場合

白色申告を選択している場合は、事業の収支を計算するために「収支内訳書」を作成します。
白色申告は記帳の負担が少ない反面、青色申告で得られる控除制度や赤字の繰り越しは適用外になります。

白色申告の場合は、単式簿記で作成できます。簡易な記帳方式で、取引を一つずつ記録する「お小遣い帳」に近い形ですので、収支が単純な場合は作業負担が軽く済みます。

 

(青色・白色どちらも)確定申告書Bの作成】

青色申告者、白色申告者どちらの場合も、最終的に作成した決算書(青色申告決算書または収支内訳書)に基づき、不動産所得の金額を「確定申告書B」に記入します。

確定申告書Bには、不動産所得のほか、給与所得(サラリーマンオーナーの場合)、配当所得など、すべての所得を合算して記入し、各種控除を適用した上で、最終的な納税額または還付額を計算します。

初めて確定申告を行う場合には、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」の利用がおすすめです。

このコーナーでは、画面のガイドに従って数字や情報を入力していくだけで、複雑な計算を自動で行い、決算書から確定申告書Bまで、すべての書類を完成させることができます。

作成した書類は、そのままe-Tax(電子申告)で提出することも、印刷して郵送・窓口で提出することも可能です。e-Taxを利用すれば、前述の65万円控除の適用も可能になります。

 

④ 提出方法(e-Tax/郵送/窓口)

書類が完成したら、税務署へ提出します。提出方法は3つです。

|e-Tax(電子申告)

e-Taxはインターネットで申告できる方法です。
e-Taxの最大の魅力は、青色申告特別控除の最大化にあります。通常、青色申告の控除額は55万円ですが、e-Taxを利用し、かつ正規の簿記(複式簿記)で記帳を行っている場合、控除額は65万円へと10万円増額されます。
この10万円の所得控除は、納める所得税・住民税を確実に軽減してくれる大きなメリットです。

また、提出に関する物理的な制約がなくなるのも大きな利点です。
自宅やオフィスから、24時間いつでも申告手続きを完了できます。申告期限直前の週末や深夜であっても、税務署の開庁時間を気にせず余裕を持って提出が可能です。

さらに、e-Taxを利用すると、生命保険料控除証明書などの一部の添付書類の提出が省略できるため、書類準備の手間も削減されます。

利用にはマイナンバーカードとICカードリーダー(または対応スマートフォン)が必要ですが、一度環境を整えてしまえば、翌年以降はスムーズに申告ができるようになります。

 

|郵送

e-Taxの環境がない場合や、紙ベースでの管理を好む方にとって、郵送は税務署に直接出向く手間がなく、手軽な提出方法です。完成した申告書を印刷し、管轄の税務署へ送付するだけで提出が完了し、時間や交通費の節約につながります。

しかし、この郵送提出における実務上の重要な変更点があります。従来の郵送では、金融機関からの融資などで必要になる「提出の証明」のため、申告書の控えと返信用封筒を同封し、税務署の「収受印」を押印してもらうのが一般的でした。

ところが、税務行政のデジタル化に伴い、申告書の控えへの収受日付印の押なつは、原則として行われなくなりました。
参照:令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて|国税庁

したがって、郵送で提出する際は、申告書本体(正本・提出用)のみを税務署へ送付することになります。控えや返信用封筒を同封する必要はありませんが、オーナー様ご自身で控えを保管し、提出年月日を明確に記録しておくことが求められます。

提出の事実を証明する必要が生じた際は、e-Taxの「受信通知」の利用、または「納税証明書(その1)」の取得といった、デジタル化された代替手段を利用することになります。

なお、提出日は「通信日付印(消印)」の日付と見なされます。期限ギリギリの場合は、トラブルを避けるためにも、郵便局の窓口から特定記録簡易書留といった追跡可能な方法で送付することを強くお勧めします。

 

|窓口提出

税務署の窓口に直接申告書を持参する方法は、特に初めて確定申告を行うオーナー様にとって、心理的な安心感があります。

最大のメリットは、申告期間中に設けられる税務署の相談会場で、職員の方に直接相談しながら手続きを進められる点です。

申告書の書き方や添付書類にわずかでも不安がある場合は、この方法を選択することで、誤りを未然に防ぐことができます。

ただし、この方法は時間に余裕のある方限定と言えます。申告期限が近づくにつれて、税務署の窓口や相談会場は非常に混雑します。

貴重な事業時間を割いて何時間も待機するリスクがあるため、申告書を完全に作成済みであれば、e-Taxや郵送の利用を検討する方が賢明でしょう。

 

|期限を過ぎた場合の対処方法(期限後申告)

どれほど注意していても、やむを得ない事情で確定申告の期限を過ぎてしまうことがあるかもしれません。しかし、期限を過ぎたからといって申告を断念してはいけません。期限後であっても、税務署へ「期限後申告」として提出することが可能です。

ただし、期限後申告には以下のデメリットが伴います。

・青色申告特別控除が適用されない
・無申告加算税(原則15〜20%)
・延滞税が日割りで発生する

もし遅れてしまった場合でも、早く提出することで加算税が軽減される可能性があります。
断念せず、税務署の調査が入る前に自主的に提出し、納税まで完了させることで、課されるペナルティ(無申告加算税)が軽減される可能性があります。

不必要な追徴課税を最小限に抑えるためにも、申告書が完成次第、一日でも早く提出することが大切です。



不動産投資で経費にできるもの・できないもの

投資用マンションの確定申告では、「どこまで経費になるのか」が大きなポイントになります。
経費として正しく計上できれば課税される所得が減り、節税効果につながりますが、誤った経費計上は否認の対象となるため注意が必要です。

不動産投資の経費は、大きく「固定的に発生する経費」「運用に応じて発生する経費」「減価償却を含む計算上の経費」に分類できます。
ここでは、投資用マンションのオーナーが押さえておくべき経費の種類をご紹介します。

 

経費にできる項目|固定費としての経費

固定費は、賃貸用マンションを所有している限り必ず発生する支出であり、税務上も経費として扱いやすい項目です。

管理費
共用部の清掃、設備点検、管理会社の運営などに使われる費用です。賃貸物件を維持するために避けられない支出であるため、経費として全額計上できます。

修繕積立金
将来の修繕に備えるために管理組合へ支払う積立金です。通常の積立分は経費となりますが、実際に大規模修繕が行われた際には、工事内容によって修繕費か資本的支出かが分かれます。
資本的支出の場合は減価償却の対象となり、年度内の全額経費とならない点に注意が必要です。

固定資産税・都市計画税
マンションを所有することで毎年発生する税金です。物件の所在地や評価額によって金額が変わりますが、賃貸経営を行う上で必須のコストであるため、経費に含められます。

火災保険料・地震保険料
物件を保全するために加入する保険の費用です。長期契約の場合は契約期間で按分し、毎年の経費として計上します。

固定費は証憑(領収書・通知書)が必ず発行されるため、税務上も認められやすい特徴があります。

 

経費にできる項目|運用に伴う経費

運用に伴う経費は、その名の通り「賃貸運営のために必要だった支出」が対象になります。固定費と異なり発生の都度内容が変わるため、証憑の保管が特に重要です。

修繕費
壁紙交換、水回り設備の修理、エアコンや給湯器の部品交換など、建物や設備の維持に必要な支出です。建物の価値を高める改良工事は修繕費にならない可能性があるため、工事内容を正確に把握しておくことが必要です。

広告費(AD・仲介手数料)
新しい入居者を募集する際に不動産会社へ支払う費用です。空室リスクを回避するための実務上必要な支出であり、もっとも典型的な経費のひとつです。

管理委託手数料
管理会社に賃貸管理を任せている場合に発生する手数料です。入居者対応、退去手続き、トラブル対応などを外部に委託するための費用であり、賃貸経営に必須となるケースが多い項目です。

交通費
物件の点検、管理会社との打合せ、入居者対応など業務上の移動で発生した費用が対象となります。私的な用事との混在が疑われる場合は否認される可能性があるため、用途をメモしておくと安全です。

通信費
電話・メール・オンライン上のやり取りなど、不動産投資に使用した分のみが経費になります。私用と共通の回線を使っている場合は、業務利用分を合理的に按分します。

運用に伴う経費は「賃貸運営に必要だったことが説明できるか」が最も重要な判断基準です。

 

ローン金利が経費になる理由

ローン返済は元金と利息に分かれますが、経費になるのは利息部分のみです。
利息は、家賃収入を得るために必要な“負担”として扱われるため、税務上は必要経費に該当します。

一方で、元金は資産の取得費用にあたります。資産形成のために支払うものは損益に影響しないため、経費には含まれません。

建物と土地がセットで購入されている場合は、建物部分の金利に相当する金額を按分する必要があります。建物割合の設定が不適切だと経費計上も誤るため、購入時の内訳確認が非常に重要です。

 

減価償却費が最大のポイントになる理由

減価償却費は、不動産投資における最も大きな節税要素です。建物は時間の経過により価値が減少していくため、その価値の減少分を費用として計上します。

この費用は実際には現金が出ていないため、キャッシュフローを減らさずに所得だけを減らす効果があり、税額に直接影響します。中古マンションでは耐用年数の計算方法によって償却費が変わり、節税効果も大きく変動します。

減価償却は、赤字をつくり出し損益通算の恩恵を得るための“仕組み”でもあるため、不動産投資において最も理解すべき経費と言えます。

 

経費にできない項目|見落としがちな事例

マンション経営において、事業に関わる支出すべてが経費になるわけではありません。「経費に見えても、税務上認められないもの」がいくつかあり、これらの判断を誤ると追徴課税の対象となるため注意が必要です。

経費にできるかどうかの最終的な基準は、「その支出が、賃貸収益を維持・獲得するために必要な支出だったか」どうかです。

以下に「認められない項目」の事例をご紹介します。 

ローン返済の元金部分
ローン返済額には元金と利息が含まれていますが、元金は建物という資産を取得するための支出にあたり、損益には関係しません。
経費になるのは利息部分のみであり、元金まで費用として計上すると否認される可能性があります。

所得税・住民税・延滞税
これらは個人に課される税金であり、不動産の賃貸運営とは直接関係がありません。そのため、不動産所得の経費として扱うことは認められていません。

生活費・プライベートな支出
飲食代、日用品の購入、旅行費、衣服代など、どれほど関連があるように見えても私生活に関する支出は経費になりません。賃貸経営との明確な線引きが重要です。

家賃収入と関係のない交通費・通信費
物件視察と称しながら私用の買い物を兼ねた移動や、旅行のついでに物件周辺を通ったようなケースは経費として認められません。
また、スマホの通信費や自宅インターネット代も、業務使用分が合理的に説明できなければ否認の対象となります。

自宅の光熱費・家賃
自宅の家賃や光熱費は基本的に経費になりません。
事業専用スペースを明確に区分し、その利用実態が説明できる場合を除き、私生活との混在が疑われるため認められないケースがほとんどです。

購入時の頭金・取得費の一部
物件購入時の頭金や手付金は、建物取得費として資産に計上され、その年の経費にはなりません。
また、不動産仲介手数料や登記費用なども取得費に含まれ、減価償却によって長期にわたり費用化されます。

資本的支出にあたるリフォーム費用
建物価値を向上させる工事は、その年の経費ではなく資産として扱われます。
たとえば、性能が向上する設備交換、間取り変更、増築、老朽化部分を超える大規模改良、耐震補強工事などが典型です。資本的支出と判断された場合は、減価償却で少しずつ費用化します。

個人の車両費(私用が混在する場合)
普段の生活でも使用している車のガソリン代や維持費を全額経費にすることはできません。物件訪問などの業務使用分のみを按分し、移動記録を残しておくことで経費として認められやすくなります。 

家族への支払い(事業的規模でない場合)
家族に手伝ってもらった場合でも、事業的規模に達していない限り、その謝礼や支払いは経費となりません。青色事業専従者給与が認められるのは、一定規模以上の賃貸経営に該当する場合に限られます。



減価償却の考え方と計算方法

投資用マンションの税務において、もっとも重要な仕組みのひとつが「減価償却」です。
建物は時間の経過とともに価値が少しずつ減少していく資産であり、その価値の目減りを毎年の経費として計上できるのが減価償却の特徴です。

現金の支出を伴わないにもかかわらず所得を圧縮できるため、節税効果が非常に大きく、ワンルームマンション投資の収支にも直接影響します。

ここでは、減価償却の基本的な考え方から、耐用年数・償却率との関係、中古マンションでの残存耐用年数の求め方、節税メリット、よくある誤りまでご紹介します。

|不動産の減価償却の考え方

減価償却とは、建物や設備のように「時間の経過とともに価値が減少する資産」について、その価値の減少分を毎年の経費として計上する仕組みです。

投資用マンションを購入した場合、建物部分は老朽化や劣化により、時間の経過とともに価値が下がっていきます。
この価値の目減りを、法律で定められた耐用年数に応じて少しずつ経費化し、税務上の所得を適正に計算できるようにするのが減価償却の考え方です。

不動産のうち減価償却の対象になるのは建物部分のみです。土地は経年で価値が減らない資産とされているため、減価償却の適用外となります。
そのため、同じ購入価格でも「土地」と「建物」を正しく按分することが、ワンルームマンション投資の税務処理では非常に重要になります。

減価償却は「固定資産は時間とともに価値が減る」という税法の基本原則に基づいており、実際の老朽化だけでなく、税務上の資産価値も耐用年数に応じて配分する仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

 

|構造別の耐用年数と償却率の関係

建物の耐用年数は構造によって異なり、税法で以下のように定められています。

構造 法定耐用年数 償却率(定額法)
木造・合成樹脂造 22年 0.046
木造モルタル造 20年 0.050
金属造(骨格材3mm以下) 19年 0.053
金属造(骨格材3mm超〜4mm以下) 27年 0.038
金属造(骨格材4mm超) 34年 0.030
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造(RC/SRC) 47年 0.022

参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
参照:国税庁「減価償却資産の償却率等表」

耐用年数が長いほど、毎年の減価償却額は小さくなります。
反対に、耐用年数が短い木造などは、短期間で多くの償却費を計上できる点が特徴です。

 

・減価償却の「償却率」とは

償却率とは、建物価格(または取得価額)に対して、1年間にどれくらいの金額を減価償却できるかを示す割合のことです。
つまり「毎年どのくらい経費として落とせるか」を決める係数です。

たとえば、建物価格が2,000万円で、償却率が0.020なら、
2,000万円 × 0.020 = 40万円/年 が経費になります。

 

・償却率はどうやって決まる?

償却率は、国税庁が定める「耐用年数」に基づいて算出されます。
法定耐用年数の逆数(1 ÷ 耐用年数)を基本にし、建物の構造や用途ごとに国が償却率を定めています。

不動産(建物)は原則として定額法が適用されるため、償却率は一定です。

 

|減価償却費の基本計算式

償却率は、国税庁が定めている「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって決まっています。
その中で、資産の種類(建物・機械・車など)と構造(RC造・木造など)ごとに「法定耐用年数」が定められており、この耐用年数から償却率を算出します。

減価償却費 = 取得価額 × 償却率

償却率は、法定耐用年数の「逆数(1÷耐用年数)」をベースにしており、「定額法」と「定率法」で計算方法が異なります。

不動産(建物)は原則として定額法なので、償却率はほぼ固定値です。

 

|減価償却で節税効果が生まれる理由

減価償却費は実際の現金支出を伴わずに経費となるため、

・キャッシュフローは黒字
・帳簿上は減価償却で赤字
→ 税金が減る(損益通算が使える)

という流れが生まれます。

特に中古マンションは1年あたりの償却額が大きくなりやすいため、所得税・住民税の節税に直結しやすいといえます。
減価償却は「帳簿上の利益を減らして税金を下げる」働きを持ち、キャッシュフローの改善にもつながります。

 

|減価償却でよくある間違い

減価償却を扱う際に起こりやすい誤りには、次のようなものがあります。

・土地部分まで償却してしまう
・建物と土地の按分が不正確
・耐用年数の設定を誤る
・設備更新費を修繕費と資本的支出で誤分類する
・中古物件の残存耐用年数の計算を誤る

特に、建物と土地の按分ミスは税務調査で指摘されやすいため、購入時点で正しい内訳を把握することが重要です。

 

|中古マンションの減価償却費の計算方法

中古物件はすでに使用年数が経過しているため、「法定耐用年数」ではなく「残存耐用年数」で計算します。

残存耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+(経過年数 × 0.2)

 出典:国税庁「中古資産の耐用年数」

たとえばRC造(47年)の築15年マンションを購入した場合、
残存耐用年数 =(47 − 15)+(15 × 0.2)= 32 + 3 = 35年

建物価格が2,000万円の場合
2,000万円 ×(1 ÷ 35)= 約57万円/年 が経費になります。

中古マンションは耐用年数が短いため、1年あたりの減価償却額が大きくなり、節税効果が高くなります。
ただし、築年数が古くなるほど修繕リスクも上がるため、節税効果だけで判断せず、運用コストや資産価値のバランスも考慮することをおすすめします。

 

不動産投資における損益通算とは?

不動産投資における損益通算とは、複数の種類の所得を合算し、赤字と黒字を相殺できる税務上の仕組みを指します。
とくに給与所得者が不動産投資を行う場合、赤字になった不動産所得を給与所得の黒字とぶつけることで課税所得を減らすことができ、結果として所得税や住民税の負担が軽くなります。

投資用マンションは、減価償却の効果によって帳簿上の赤字が出やすいため、損益通算のメリットを活かしやすい資産と言えます。
キャッシュフローは黒字でも、税務上は赤字になることが少なくないため、実務ではとても有効な節税手法として活用されています。

 

1.損益通算とは赤字を他の所得と相殺できる仕組み

損益通算は、まず同じ所得区分の中で利益と損失を差し引き、それでも赤字が残る場合には他の所得と相殺していく流れで処理されます。
不動産所得の赤字は、事業所得や山林所得などと通算した後、最終的には給与所得と合算されるため、給与所得者にとって大きな節税効果を生むことになります。

 

2.不動産の赤字で源泉徴収された税金が戻る可能性がある

給与所得は毎月源泉徴収されるため、税額があらかじめ確定しているように見えますが、不動産所得で赤字が出た場合には、その赤字分を給与所得から差し引くことができます。
結果として、年末調整や確定申告で払いすぎた税金の還付を受けたり、翌年の住民税が軽くなったりといった効果が生まれます。

 

3.課税所得は赤字分だけ減り、所得税と住民税が軽くなる

損益通算の効果をイメージしやすい例として、年収600万円の給与所得者が不動産投資で100万円の赤字を出したケースを考えます。
通算前は600万円が課税対象になりますが、赤字を加味すると合計所得は500万円となり、課税される金額が100万円分減少します。この差額にかかる所得税と住民税が軽減されるため、手元に残る資金を増やすことができます。

 

4.現金支出なしで赤字を作ることができる

損益通算が不動産投資で特に効果を発揮する理由は、減価償却費が「現金の支出を伴わない経費」である点にあります。

家賃収入と実際の支出を比較すると黒字であっても、減価償却を計上することで帳簿上は赤字として扱われる場合があります。この仕組みによって、キャッシュフローを維持しながら税負担だけを下げることができるため、“黒字倒産しない節税”として非常に重視されています。

 

5.損益通算ができないケースは?

損益通算には、一見不動産投資に関係しているように見えても、通算の対象外となる項目があります。
例えば、土地を取得するための借入金利子は土地部分に該当するため損益通算が認められません。
また、実際に賃貸に使用していない遊休資産の損失も対象外となります。

私的利用が疑われる支出や、事業としての実態が不十分な場合も、税務上の通算が制限されることがあります。

 

6.青色申告なら赤字を最長3年間繰り越すことができる

損益通算を行っても赤字が使い切れない場合、青色申告に限り最長3年間繰り越すことができます。
翌年以降の所得から順次差し引けるため、一度発生した赤字の節税効果が長く続く点は大きなメリットです。

不動産投資のように長期保有が前提の資産では、この繰越控除の有無が将来の税負担に大きな影響を与えます。


不動産投資にかかる税金の種類

投資用マンションを所有・運用・売却する過程では、複数の税金が関わります。
保有しているだけで毎年発生する税金もあれば、売却時にまとめて発生する税金もあり、それぞれの仕組みを正しく理解することで、実質的な手取りやキャッシュフローを正確に把握できます。

特に、不動産投資では「経費」「減価償却」「損益通算」といった制度と税金が密接に結びついているため、全体像を押さえておくことが、無駄のない運用と適切な節税に直結します。

ここでは、投資用マンションに関係する税金を「保有時」と「売却時」に分けて整理し、それぞれの特徴と注意点をわかりやすくまとめます。

 

1.マンション保有時にかかる税金

投資用マンションは、所有しているだけで発生する税金があります。毎年のキャッシュフローに直結するため、運用前に把握しておくことが欠かせません。

|固定資産税
土地・建物に対して課される税金で、固定資産税評価額×1.4%が基本です。
マンションでは土地を区分所有者の持分で按分して計算します。毎年1月1日時点の所有者に課税されます。

|都市計画税
市街化区域内に所在する不動産に課される税金で、評価額×最大0.3%。
固定資産税と同様、1月1日時点の所有者に課税されます。

|不動産取得税(購入時に1回だけ)
購入時に都道府県から課される税金で、評価額×4%が基本。
住宅用の軽減措置が適用されると3%になるケースが一般的です。

|その他、状況によって発生する税金
・登録免許税(所有権移転・抵当権設定時)
・印紙税(売買契約書に課税)
・家賃収入に伴う所得税・住民税(不動産所得として課税)

家賃収入がある場合は確定申告が必要になることがあり、運用段階から税務管理が伴います。

 

2.マンション売却時にかかる税金

売却時に発生する税金は、利益の有無や所有期間によって大きく変わります。特に所有期間5年を境に適用税率が大きく変動するため、売却タイミングの判断が重要です。

|売却益(譲渡所得)の税金
譲渡所得は「売却価格 −(取得費+譲渡費用)」で計算され、その利益に対して税金がかかります。
取得費には購入代金だけでなく、登録免許税・仲介手数料・司法書士報酬なども含まれます。

|所有期間による税率差(短期/長期)
・短期譲渡(5年以下)…税率 約39%
・長期譲渡(5年超)…税率 約20%
同じ価格で売却しても、所有期間によって税額は大きく変わります。

|取得費・譲渡費用として認められる項目
購入時の仲介手数料・印紙代・登録免許税、不動産取得税、売却時の仲介手数料などが含まれます。
取得費が不明な場合は「概算取得費(売却価格の5%)」を用いますが、税額が増えるケースが多い点に注意が必要です。

|相続物件の特例(取得費加算)
相続税を支払っている場合、相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を減らせる制度があります。

|住民税・復興特別所得税の取り扱い
譲渡所得税には住民税と復興特別所得税が上乗せされ、最終的な税負担はこれらを合算して判断します。

|売却損が出た場合の扱い
用途によっては損益通算や損失の繰越控除が利用できる場合がありますが、要件が細かく分かれるため、事前の確認が必要です。

 

 不動産投資にかかる税金一覧表

税金名 タイミング 課税主体 税率・概要 主な注意点
固定資産税 保有時(毎年) 市区町村 評価額×1.4%(標準税率) 1月1日時点の所有者に課税。売買時は日割り清算。
都市計画税 保有時(市街化区域) 市区町村 評価額×最大0.3% 市街化区域のみ課税。固定資産税と同じく1月1日時点で判定。
不動産取得税 購入時に1回 都道府県 評価額×4%(住宅は軽減で3%の場合あり) 購入後数か月〜1年以内に納付書が届く。
登録免許税 購入時・売却時 登記内容により税率が異なる 所有権移転・抵当権設定・抹消で課税。
印紙税 購入・売却の契約時 契約金額により税額が決まる 売買契約書に貼付する義務がある。
所得税・住民税(不動産所得) 保有時(毎年) 国・自治体 家賃収入 − 経費 に課税 確定申告が必要になる場合が多い。
譲渡所得税 売却時 短期:約39%/長期:約20% 所有期間で税率が大きく変わる。
住民税(譲渡) 売却時 自治体 長期:5%/短期:9% 譲渡所得税と合わせて計算。
復興特別所得税 売却時 所得税額×2.1% 譲渡所得税の一部として上乗せ。
相続税 相続時 基礎控除超過分に課税 相続後の売却では「取得費加算の特例」が使える場合あり。



まとめ

投資用マンションでは、確定申告の方法、経費の扱い、減価償却、損益通算、そして売却時の税金まで、運用のあらゆる場面で税務が関わっています。

これらを正しく理解しているかどうかで、毎年の手取りも将来の資産形成も大きく変わります。難しく見える税務も、仕組みを押さえて運用すれば、収益を支える重要な武器になります。

もし確定申告の準備に不安がある場合や、売却を検討して手取り額を知りたい場合、あるいは収支改善の相談をしたい場合には、リトゥルーまでどうぞ気軽にご相談ください。
オーナー様それぞれの状況に合わせた最適なアドバイスをさせていただきます。

 

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