ワンルームマンション投資を始めると、適切な売却時期を逃したくないと思うのが当然です。
運用利益と売却利益の総合判断で考える不動産投資では、売却のタイミング見極めは最重要課題の一つです。 今回は、ワンルームマンション投資における「売却に適したタイミング」と、適切なタイミングですぐに行動できるよう知っておきたい「売却の流れ」についてお話します。
まずは、ワンルームマンション投資における適切な売却のタイミングを、いくつか知っておきましょう。
不動産の売却価格は、数百万円単位で変動することもあるため、適切な時期を逃さないことが投資成功を左右します。また、2022年現在、ワンルームマンション市場は売り時傾向にあるといわれており、多くの投資家が売却時期に着目しています。
本記事では、5つのタイミングに焦点をあてて解説します。
ご自身の運用する物件で当てはまる項目がないか、チェックしてみてください。
入居者のいない空室のタイミングは、実は売却のチャンスです。
物件が空室であれば、購入希望者に内覧してもらえるため、物件の良さを伝えやすくなります。内覧では、モデルルームのように家具を配置するホームステージングを施すなど、高く売るための工夫が可能です。
さらに、買主にも、購入後にリフォームするなどして物件価値を高めてから家賃価格を決められるメリットがあります。
空室が出てしまった際は、安易に家賃を下げるよりも、一度売却を考えてみてはいかがでしょうか。 次の入居者が退去を待つよりも築浅の今のほうが、高値での売却が期待できます。
入居者がいても、売却に適しているタイミングがあります。
それは、近隣の家賃相場よりも高い賃料になっているときです。投資家視点では、「相場よりも高い賃料でも貸し出せる」という実績があるので、優良で収益率の高い物件と判断されやすくなります。
タイミングを逃さないために、近隣の家賃相場は定期的にチェックしておくと良いでしょう。
一般的に、マンションは新築から10年から20年ほどで「大規模修繕」を行います。
投資用マンションの支出項目のひとつである「修繕積立金」は、この大規模修繕のタイミングで値上がりすることがあります。一方、投資家視点でみると、大規模修繕後は物件価値が高まり入居者が入りやすい時期なので、収益が期待できます。
オーナーとしては、値上がりした修繕積立金を払い続ける必要なく、高値で売却できるチャンスといえます。
また、大規模修繕前の物件は、注意が必要です。昨今の工事費用相場の値上がりにより、オーナーの修繕積立金で大規模修繕を行えないケースが出てきています。
その場合、必要な修繕が施工できないため、物件価値が低くなっていく懸念があります。
売り時のために、大規模修繕を待つ必要はありませんが、売却を考えている方は「大規模修繕」の時期と状況を確認してみましょう。
住宅ローンの低金利は、不動産売却に有利な条件です。
市場の原理として、購入者がローンを組みやすいと、マンションなど不動産の需要が高まる傾向があります。実際に、2022年現在、コロナや世界情勢の変動があるなかでも不動産市場の安定した需要が続いていることも、現在の超低金利政策による影響が一つの要因と考えられています。
売却を考えている方は、現在の低金利のうちに行動を起こすことをおすすめします。
売り時のタイミングの5つ目は、毎月の収支バランスがマイナスになってしまったときです。
マンション投資では、入居者がいたとしても、マイナスに転じるケースがあります。
例えば、
・家賃の値下がり
・管理費・修繕積立金の値上がり
これらは築年数の経過により、どの物件でも生じます。
そのため、購入時には黒字だった収支が、長期保有によって赤字に転じてしまうのです。
収支がマイナスになっても、運用方法に問題があったのではとネガティブにならず、売却のタイミングと割り切って考えましょう。
大切なことは、毎月の収支を正確に把握しておくことです。不動産投資では、適切なタイミングに売却し、利益をキープすることが大切です。
そのためにも、毎月の収支を必ず正確に把握し、マイナスが膨らむ前に早めに損切りしましょう。
続いて、ワンルームマンション売却の流れを紹介します。
不動産は、売却しようと決断してから、現実に売買契約が成立するまでに、時間と手間がかかります。適切なタイミングと判断したときにすぐに行動に移せるよう、売却の5つのステップを把握しておきましょう。
売却を決断したら、はじめに、物件の売却価格を査定します。
このとき、複数の不動産業者に査定依頼することがおすすめです。不動産会社によって、査定価格は数百万円前後することがあります。ただし、高い金額で売りに出せることが必ずしも良いとは限りません。
高値で売れ残り続けてしまうと、維持費負担がかさむうえ、買い手にも良くない印象を与えます。売却価格査定は、売買の仲介を依頼する不動産パートナーを見極めるタイミングでもあります。
適性な価格を見極められる、投資専門の不動産業者に複数査定を依頼しましょう。
売却を依頼する不動産業者を決めたら、媒介契約を結びます。
不動産売買の媒介契約には、3つの種類があります。3つの契約形態と、それぞれのメリット、デメリットを紹介します。
1.専属専任媒介契約
売却活動を1つの不動産業者だけに依頼する契約です。
メリット
・売却すれば不動産業者の確実な利益になることから、積極的な売却活動が期待できる
・販売活動の報告義務が、7日に1度以上
デメリット
・売主自身で買主を探すことができない
・他の不動産会社に売却を依頼できない
2.専任媒介契約
売却活動を1つの不動産業者だけに依頼し、売主自身も買主をさがすことができる契約です。
メリット
・売主自身が買主を見つけ出さない限り、売却すれば不動産業者の確実な利益になることから、積極的な売却活動が期待できる
・販売活動の報告義務が、7日に1度以上
デメリット
・他の不動産会社に売却を依頼できない
3.一般媒介契約
複数の不動産業者に売却を依頼する契約です。
メリット
・複数の不動産業者が売却活動してもらえるため、可能性が広がる
デメリット
・不動産業者によっては、積極的な売却活動をしてもらえないことがある
・販売活動の報告義務がない
どの契約形態が正解ということはありません。複数の選択肢があることを知っておき、不動産業者の見極めにお役立てください。
不動産業者と媒介契約を結んだら、売却活動が始まります。
投資用マンションの場合、一般的に、3ヶ月前後の売却期間がかかると考えておきましょう。この間、売主としてできることは、
・買主に魅力を伝えられる資料を提示したり、内覧を行ったり、スムーズに売却ができるよう協力する
・購入希望者から価格交渉されることを想定し、最低ラインを決めておき慎重に対応する
・不動産業者の売却活動に納得いかない場合、変更する業者や方法を模索しておく
などです。
不動産業者任せにせず、自身でも知識をつけ、行動していくことが重要です。
売主と買主がお互いに、価格と条件に納得できた時点で、売買契約が締結されます。
売買契約の締結時、買主から「手付金」を受け取ります。手付金の目安は、物件価格の5%から10%程度です。売買契約に必要な書類は不動産業者が用意することが一般的ですが、印鑑証明や収入印紙などは売主が準備する必要があります。
契約締結後、買主の資金が調ったところで、物件の引き渡しが行われます。
買主から物件価格の残金が売主に支払われ、同時に、売主から必要書類やカギなどを買主に渡します。また、当日に所有権の移転を行います。
不動産業者への仲介手数料の支払いも、このタイミングで行われることが一般的です。投資用不動産の特徴として、入居者がいる場合に「賃貸人の地位継承通知」を行う必要があります。
オーナーが変わったことを、売主と買主の連名で、入居者に通知します。一連の資料準備などは、不動産業者が準備します。いくつものステップを任せることからも、売却を依頼する不動産業者選定を慎重に見極めることが大切です。
ワンルームマンション売却で損をしないよう、適切なタイミングを知っておくことが肝心です。タイミングを逃さないためのカギは、物件状況の正しい把握と、時期が来たときにすぐ行動できる準備といえます。
まずは、紹介した売り時タイミングと売却ステップを、知っておきましょう。
■ワンルームマンション投資の売り時5つのタイミング
・物件が空室のとき
・入居者の家賃が近隣相場よりも高いとき
・大規模修繕の前後
・住宅ローン金利が安いとき
・収支がマイナスに転じたとき
■ワンルームマンション売却の5つのステップ
・売却価格の査定
・媒介契約締結
・売却活動
・売買契約締結
・物件引き渡し
ワンルームマンション売却で失敗したくない方は、信頼できるプロのアドバイスを聞いてみることをおすすめします。
本記事では、一般論の売り時タイミングを紹介しましたが、実際に高値で売りやすいタイミングは物件によって異なります。
具体的な売却時期でお悩みの方は、ぜひ一度、投資専門の不動産パートナーにご相談ください。