ワンルームマンション投資の税務調査とは?チェックされやすいポイントや対策を解説

コラム紹介

ワンルームマンション投資をしている方の中には、「税務調査が入って焦った」という方もいるのではないでしょうか。税務調査と聞くと、なんとなく怖いイメージがありますよね。しかし、普段からしっかり対策をしていれば心配はいりません。そこで今回は、税務調査の流れや実施する場所、普段からできる対策などについて解説します。

不動産投資と税務調査の実態

税務調査とは、納税義務者が申告した支払い状況や、源泉所得税の徴収結果について調査するものです。税務調査には「強制調査」と「任意調査」の2種類がありますが、現状は税務調査の大半が任意調査となっています。 任意調査は、ドラマで見るような国税庁職員が段ボールを運ぶ強制捜査とは異なり、調査方法や対応も穏やかです。

さらに、ほとんどのケースが、税務署の指導により修正申告をする、もしくは税務署から「更生や決定をしない(問題なし)」という通知が来て終了します。つまり、よほどの事情がない限り、揉めることはないのでご安心ください。

個人の不動産投資で税務調査の対象となるのは?

マンション投資税務調査

個人における不動産所得の税務調査は、そう多くはありません。しかし、以下のような場合は、税務調査の対象になる可能性が高いので注意が必要です。

取引先の法定調書と申告書の内容が異なるとき

取引先が提出した法定調書と、納税者が提出した申告書に差異がある場合は、税務調査が入ります。法定調書とは、税務署への提出が義務づけられている資料のことです。

そのうちの1つに、年間の支払い状況や源泉所得税の徴収結果をまとめた支払調書があります。この支払調書を見て「誰が・どの人物に・いくら報酬を支払ったのか」を税務署は把握しているのです。そのため、取引先の法定調書と申告書を見比べて、差異がある場合は税務調査が入ります。

申告漏れが疑われるとき

不動産所得の青色決算書や収支明細書に、申告漏れが疑われるときは税務調査の対象となる可能性が高いです。たとえば、マンションの規模に対して家賃収入が明らかに少なかったり、周辺の家賃相場よりも家賃が安すぎたりするケースなどが挙げられます。なかには実際に、税務署員がマンションの外観を確認することもあるようです。

税務調査はいつ・どんな流れで行うの?

税務調査を行う時期に、決まりはありません。しかし、3月の確定申告を終えた4~5月あたりや、国税局や税務署の人事異動が落ち着く7~11月あたりに実施することが多いです。

また、法人の場合は決算月によっても異なります。2~5月決算法人は上半期(7~12月)、6~1月決算法人は下半期(1~6月)に行うのが通例です。

ここからは、実際の税務調査の流れを見ていきましょう。

1.税務署からの事前連絡

税務署から事前に税務調査を行う連絡があります。電話での事前連絡が一般的ではありますが、通知は義務ではないため、事前の連絡がない場合もごく稀にあるようです。

2.税務署と調査実施日の調整

調査実施日は、会社や事業主側の都合で決められるため、仕事や自分の予定を優先することができます。もし、顧問税理士に立ち会いを依頼する場合は、税理士の方との日程調整も必要です。

3.必要な書類・資料のチェック

税務調査前には、提出する書類や揃えておく資料に不備や漏れがないかをチェックします。顧問税理士がいる場合は、事前に打ち合わせをしておくと安心です。不正をするつもりはなくとも誤解を招きそうな項目がある場合は、しっかり説明できるよう準備しておきましょう。

4.税務調査当日

税務調査当日は、自宅や店舗、事務所などに税務調査官が訪れます。ただし、納税調査を受ける場所についての規定はないので、顧問税理士の事務所や貸し会議室でも問題ありません。ほとんどの調査が1~2日程度で終わります。

5.調査結果

結果が出るまでに、税務署から指摘や質問があった場合はその都度対応します。状況に応じて、資料の追加提出が必要になることもあるでしょう。

税務調査の結果は、申告内容に問題がない「申告是認」と、税務署の指摘を認めて修正する「修正申告」、そして、税務署の指摘を受けても修正しなかったときに出される「更正」の3つがあります。

修正申告と更正の場合は、不足分の税金に加え、延滞税、過少申告加算税を納めることが必要です。また、悪質な脱税であると認定された場合は、重加算税が課せられたり、犯罪として処罰されたりする可能性もあります。

税務調査で調査されるチェック項目

マンション投資税務調査項目

税務調査では、1~3年分の資料を遡ってチェックします。そのため調査するポイントは、ある程度絞られているといってもよいでしょう。ここからは、税務調査におけるチェック項目について解説します。

交際費が適正か

交際費は、必ずチェックされる項目の1つです。交際費として申告されている金額が、本当に不動産投資に関係があるのかを調査します。たとえば不動産投資の場合、食事や物品提供などを含む交際はあまりありません。そのため、飲食や物品提供を含む交際費が多すぎると疑いの目を向けられます。

収益の申告漏れがないか

収益の申告漏れは、所得隠しを疑われるため注意が必要です。ただ不動産投資の収益は家賃収入が大半を占めるので、故意でない限り申告漏れは起こりづらいでしょう。

間違えやすいのは、滞納分の家賃についてです。家賃が滞納され入金がない場合でも、売上に計上しなくてはなりません。申告漏れが起こりやすいポイントなので気をつけてください。

敷金や保証金を正しく計上しているか

新規入居者から受け取る敷金や保証金も、入居者に返還しない分はオーナーの収入になります。賃貸契約書に「敷金・保証金は返還する」などの記載がなければ、計上漏れとして扱われるので注意が必要です。

不動産投資の経費か否か

税務調査官が、最も注意深くチェックしているのが経費です。不動産投資をする方の中には、税額を低くするためできるだけ経費を多く計上し、利益を少なくしたいと考える方は多いでしょう。しかし、不動産投資に関係のないものを経費として計上すると調査の対象となります。

きちんと契約書を交わしているか

オーナーと入居者の間で、きちんと契約書が交わされているかを調査することもあります。なぜなら、契約書がないと家賃や更新料など、具体的な収入が判断できないからです。家賃収入の金額を証明するためにも、書類で契約するようにしましょう。

税務調査がいつ入っても困らないための対策

不正をしていなければ、税務調査を過剰に恐れる必要はありません。さらに、普段から以下のような対策をしておくと、税務署から連絡がきても慌てずに済みます。

取引の証拠を具体的に残す

売上や仕入れ、交際費などにかかった経費の領収書は、取引の証拠となるため必ず保管します。また、領収書だけでは不動産投資の必要経費なのかがわかりづらい場合は、詳しい内容を日誌等に残しておくと安心です。

たとえば個人投資家は、家族や友人との飲食代を経費として計上していないか疑われやすい傾向があります。そのため、飲食代を経費として計上するときは、不動産投資に必要な飲食代であることを具体的に記録しておくとよいでしょう。

プライベートと不動産投資の通帳を分ける

税務調査対策には、通帳の分別をおすすめします。個人投資家の場合、プライベートと不動産事業のどちらに使ったお金なのかが曖昧になりがちです。プライベート用と不動産事業用の通帳を分けることで、お金の流れを把握しやすくなります。通帳の分別は不動産投資に限らず、個人で事業をされている方に有効な税務調査対策といえるでしょう。

脱税はしない

不動産投資に限った話ではありませんが、節税はしても脱税はしないようにしましょう。脱税とは故意に所得を隠したり、利益を少なく申告したりすることです。明確なルール違反となり、大きなリスクを伴うため絶対に行ってはいけません。脱税が発覚すると税金面でのペナルティに加え、犯罪として処罰されることもあります。

税務調査は怖くない!不動産のプロに相談しよう

マンション投資税務調査

税務調査を、過剰に恐れる必要はありません。いつ税務調査が入っても困らないよう、普段からできる対策をしておくと安心です。自身での対策に不安がある方は、税理士に会計処理を任せる方法もあります。ただし、不動産に詳しい税理士を選出しなければ意味がないため、税理士選びは重要です。

ワンルームマンション投資の税務調査や、税理士の選び方などについてお悩みの方は、まず不動産のプロに相談することをおすすめします。プロに相談すれば、税務調査に怯えることなく、不動産投資を成功させることができるでしょう。

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