「ウッドショック」「アイアンショック」に続き、2026年の不動産市場を揺るがす新たなリスクとして注目されているのが「ナフサショック」です。
中東情勢の緊迫化を背景に、プラスチック・塗料・断熱材など建材全般の原料となるナフサの価格高騰と供給不足が深刻化しています。
その影響は新築工事にとどまらず、すでに物件を保有するオーナーの修繕コストや運用益にも及び始めています。
一方で、建物がすでに存在する中古不動産の希少価値は高まり、売り手市場が続いているのも事実です。
本コラムでは、ナフサショックが投資用マンション市場にもたらす構造変化を「新築」「中古」「融資」「売却」の四つの視点から整理し、2026年に投資用マンションオーナーが取るべき判断の指針をお伝えします。
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ナフサショックの影響により、当面は中古投資用マンションへの需要が強い状態が続くと考えられます。新築はコスト高騰で供給が絞られ、投資家の資金が中古市場に集中しているため、状態の良い中古物件は引き続き高い評価を受けやすい局面です。
一方で、保有オーナーにとっては修繕・維持コストの増加が運用益を圧迫するリスクも高まっており、売却・保有どちらの判断においても、現在の資産価値を正確に把握しておくことが重要になっています。
「ウッドショック」「アイアンショック」。近年の不動産業界は、世界規模の資材高騰の波に何度となく翻弄されてきました。コロナ禍を境に世界のサプライチェーンが大きく乱れ、日本の建設・不動産業界は資材の確保に奔走し続けてきた5年間だったと言えます。
そして2026年現在、投資用不動産の市場を揺るがす新たな懸念として急速に存在感を増しているのが「ナフサショック(ナフサ危機)」です。
ホルムズ海峡をはじめとする中東の主要な原油輸送ルートをめぐる情勢不安や、それに伴う先行き不透明感を背景に、プラスチック・塗料・断熱材などあらゆる化学製品の大元となる原料「ナフサ(粗製ガソリン)」の供給不足と価格高騰が現実のものとなっています。
この動きは、マイホームを求める実需市場だけでなく、投資用マンションの売買市場にも、静かに、しかし確実な変化をもたらし始めています。
「原油や化学燃料の話なんて、自分のワンルームマンションには関係がない」と感じる方もいるかもしれません。ところが実際には、現代の住宅は驚くほど多くの「石油製品」によって成り立っています。壁紙、床材、配管、断熱材、外壁塗料、防水シート……それらの原料をたどっていくと、ほぼ例外なくナフサに行き着きます。
過去のショックと今回が根本的に異なるのは、ここです。ウッドショックは「柱や梁が入らない」という話でしたが、ナフサショックは「建物の仕上げや設備にかかわるあらゆるものの原料が滞る」という話です。特定の構造材だけを迂回すれば何とかなった過去の危機と違い、今回は影響が広範囲に及ぶため、解決の糸口が見えにくい状況が続いています。
さらに深刻なのは、影響の範囲が「新築工事」だけにとどまらない点です。現在ワンルームや一棟物件を保有しているオーナーにとっても、入居者退去後の原状回復費用の高騰、大規模修繕のコスト増、設備交換の長期化といった形で、じわじわと手取り利益を圧迫し始めています。
なお、このコラムで取り上げる数値や市場動向は、2026年春時点での業界情報をベースにしています。状況は刻々と変化しているため、あくまで全体の構造変化を把握する材料として参考にしていただければ幸いです。

そもそも「ナフサ」とは何でしょうか。原油を加熱・蒸留する過程で得られる中間製品で、石油業界では「石油化学のコメ」とも呼ばれます。
ナフサをさらに分解・精製することで、プラスチック(樹脂)、合成ゴム、合成繊維、塗料、接着剤など、ありとあらゆる化学製品の原料が生まれます。
私たちが毎日使っているお風呂のバスタブ、トイレ、ペットボトル、衣類の生地、電子機器のケーシング。それらの製造をさかのぼると、かなりの部分でナフサが関わっています。
建物に置き換えると、柱や梁という骨格にあたるのが木材や鉄筋コンクリートです。ナフサはそうした骨格ではなく、建物の仕上げや機能を守る「血管・神経」のような存在です。
骨格がしっかりしていても、血管と神経が機能しなければ体は動きません。2026年の住宅業界で起きていることは、まさにその状況に近いと言えます。
かつての「ウッドショック(2021年)」は、木材という特定の構造材だけが対象でした。そのため「RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションなら無関係」という回避策が存在しました。アイアンショックも、鉄骨・鉄筋という特定の材料に限った問題でした。
しかし今回のナフサショックが厄介なのは、建物の構造種別を問わず、仕上げや設備にかかわるほぼすべての資材が一斉に影響を受けるという点にあります。
しかも「大規模修繕工事」や「原状回復リフォーム」といった、すでに建っている物件の維持管理にも直撃します。これが過去のショックとの最大の違いです。
投資用ワンルームマンションや一棟収益物件の建築現場を見渡すと、ナフサを大元の原料とする建材がいかに多いかがよくわかります。
断熱材として広く使われるウレタン・発泡スチロール系の素材は、最大40%程度の値上がりが報告されています。壁紙(ビニールクロス)や床材(クッションフロア)、それらの接着剤も石油由来であることは見落とされがちです。
外壁塗装に使われるシリコン・フッ素塗料や建築用シンナーにいたっては、最大75〜80%の高騰が指摘されているケースもあります。
水道・電気の配管に使われる塩化ビニル管、窓枠のゴムパッキン、屋上や外壁の防水シート、目地を埋めるコーキング材。ざっと列挙しただけでも、これだけの資材がナフサを原料としているのです。
歴史的な円安基調がその上に重なり、国内の建材メーカーはコストの吸収が限界を超えつつあります。建材の定価や卸価格が断続的に改定されるのが常態となっており、工務店やディベロッパーは「今月の見積もりが来月には使えない」という状況に直面しているのが現実です。
コスト高騰と同じくらい、あるいはそれ以上に現場を苦しめているのが「資材の供給不足と納期の長期化」です。
予算があっても、大元のナフサが調達できなければ建材メーカーは製品を作れません。特に大きな影響を受けているのが、大手住設メーカーが製造するシステムバス・ユニットバス・システムキッチン・温水洗浄便座などの設備類です。
プラスチック成形品や樹脂パーツを多用するこれらの製品では、メーカーが新規受注を一時制限したり、注文から納品まで数ヶ月を要したりする事態が一部で起きています。
「お風呂が入らないから工事全体がストップした」「トイレが設置できず竣工が3ヶ月延びた」。こうした声が建設現場から聞こえてくるようになりました。
ディベロッパーや建築会社は、引き渡し時期が後ろにずれ込むリスクを常に抱えながら、綱渡りの工程管理を余儀なくされています。
資材費の見積もりの有効期限が著しく短くなり、契約から着工まで時間が空くと再見積もり(値上げ)を求められるケースも少なくありません。
施主にとっては「いつ家が建つかわからない」という状況が当たり前になりつつあり、こうした不確実性が新築物件全体への不信感につながっています。
ナフサショックの打撃を最もダイレクトに受けているのが、新築の投資用マンション市場です。
ディベロッパーが1棟建てる際のコストは、かつての想定を大幅に上回る水準に達しています。断熱材、内装材、住設、塗料、防水工事。あらゆるコストが積み重なって、完成時の建築原価はこれまでの試算から数百万円、場合によっては1,000万円以上膨らむ事態も起きています。
ビジネスとして成立させるには上昇分を販売価格に転嫁するしかありません。ところが不動産投資の世界には、「家賃相場」という動かしがたい壁があります。
物件価格が3割上がっても、入居者が毎月支払う家賃を3割上げることはできません。賃料は周辺の競合物件との兼ね合いで決まるため、物件の原価がいくら上がったとしても、市場が許容する水準を超えることはできないのが現実です。
結果として起きるのは利回りの低下です。販売価格が上がり家賃が変わらなければ、表面利回りは自動的に下がります。
都市部の優良立地でさえ、かつては4%台後半で運用できたものが、今や3%台、あるいはそれを下回る水準でしか販売できないケースが出てきました。
3%を切るような利回りでは、投資ローンの金利負担を加味すれば実質的な収益がほとんど残りません。それどころか、金利次第では毎月持ち出しが発生するという計算になります。
「これでは投資家に提案できない」「そもそも銀行の融資審査が下りない」と判断したディベロッパーが用地仕入れや開発計画を凍結・縮小しており、新築収益物件の供給は目に見えて細ってきています。
2024年頃まで積極的に新築ワンルームを供給していた中堅ディベロッパーが、土地の仕入れを大幅に絞り込み始めているという情報も複数入っています。
先行きが見えない状況でディベロッパーが開発を控えることで、市場に出回る新築の投資用マンションは今後さらに減少していく可能性が高いと見られています。
見方を変えれば、こうした新築供給の収縮は、中古市場に対する需要をより一層強めることを意味します。投資家の選択肢が「中古か、高コスト・低利回りの新築か」という二択に近くなるほど、既存の優良中古物件の希少性は高まっていきます。
ナフサショックは、これから買う人だけでなく、すでに物件を持っているオーナーの運用利益(インカムゲイン)にも静かに、しかし確実に影響を及ぼしています。
最も身近な問題が、退去後の原状回復工事の費用膨張です。壁紙(クロス)や床材(クッションフロア)、コーキング材はすべて石油製品であり、職人不足による人件費上昇も重なって、数年前と同じ感覚で発注すると見積もりが1.5倍から2倍近くになることも珍しくありません。
たとえば以前は5万円で収まっていたワンルームの原状回復が、今では8〜10万円を超えるケースが出てきています。1回の退去ごとに数万円単位でコストが余計にかかれば、年間を通じた実質利回りは確実に削られていきます。
一棟アパートや一棟マンションを所有するオーナーにとっては、さらに深刻な問題があります。10年から15年に一度の「大規模修繕工事」のコスト増です。
外壁塗装は建物の美観と耐久性を守る最も重要なメンテナンスのひとつですが、使用する塗料や溶剤はまさしくナフサ由来の製品です。屋上防水に使う防水シートも同様です。
これまで計画的に積み立ててきた修繕積立金だけでは費用を賄いきれず、追加の持ち出しを求められたり、修繕時期をやむなく先送りしたりするリスクが、全国の収益物件で現実化しています。
修繕を先送りにすれば建物の劣化が進み、入居率の低下や家賃下落につながります。外壁のひび割れや防水層の劣化は、放置するほど修繕費用が膨らみます。
さらに次に物件を売却する際、建物の状態は価格査定に大きく影響します。目先のキャッシュアウトを避けようとした結果、長期的に見て大きな損失を招く。そうした悪循環に陥るリスクをオーナーは強く意識しておく必要があります。
具体的な判断の目安として、次のチェックポイントが参考になります。エアコンは設置から10年が一般的な耐用年数の目安です。給湯器は10〜15年。温水洗浄便座や換気扇も同様です。
これらが複数の部屋で同時期に寿命を迎えるようであれば、資材や職人の確保が難しい現在の環境を踏まえ、1〜2年前倒しで計画的に交換しておくことが賢明です。
「予算があるから今すぐ交換しなくていい」ではなく、「今ならまだ比較的スムーズに手配できる」という発想で動くことが、今の時代のオーナー運営において重要な視点と言えます。
設置から10年が過ぎたエアコンや給湯器があるとして、「まだ動いているから壊れるまで使おう」という発想はナフサショック下では通用しなくなっています。
真夏にエアコンが壊れ、資材不足を理由に交換品が届くまでに1ヶ月かかったとしたら、入居者から激しいクレームが入り、家賃の減額請求や退去につながります。
「壊れてから慌てて高い建材を調達する」のではなく、管理会社と定期的に連携しながら「まだ動くうちに予算を確保して予防交換しておく」という先回りの発想が、今後のオーナー運営における基本戦略となります。

新築市場がコスト高と工期リスクで足踏みするなか、中古の投資用不動産市場には強い資金の流入が続いています。
投資家が中古を選ぶ最大の理由はシンプルです。建物がすでに存在し、稼働しているという確実性です。
新築のように「資材が届かず引き渡しが遅れる」「予定通りに家賃収入がスタートしない」というサプライチェーンリスクが、中古にはありません。オーナーチェンジ物件であれば、売買が成立した翌月から通帳に家賃が振り込まれます。
「買った日から入金が始まる安心感」と「新築と比べてまだ投資として成立する利回り」の二つが高く評価され、個人投資家から買い取り再販業者、機関投資家に至るまで、優良な中古区分マンションや一棟収益物件への関心が着実に高まっています。
特に都市部の駅近・好立地の中古投資用マンションは、現在も価格が高止まりを維持しており、物件によっては複数の買い手から申し込みが重なるような売り手市場が続いています。
2026年度の税制改正では、中古住宅に対する住宅ローン減税の拡充なども行われており、政策面からの後押しも中古シフトを加速させる一因となっています。
「古いから価値が低い」という固定観念がある方には意外かもしれませんが、今の市場では「状態が良く、すぐに使える中古」こそが高く評価される存在になっています。
重要なのは、この「中古優位」の流れが一過性のものではないという点です。少子化に伴う新規住宅需要の縮小と、ストック型社会への移行という日本の構造的な変化も、中古不動産の価値を底上げする力として長期的に作用しています。
ナフサショックは、その動きをさらに加速させた要因のひとつと言えるでしょう。
不動産投資を支える融資(ローン)の現場でも、2026年は大きな転換期を迎えています。日本の金融市場が「金利のある世界」へとシフトするなか、投資用ローンの金利も緩やかな上昇傾向をたどっています。
そこにナフサショックによる物件価格の高騰が重なり、銀行の融資姿勢に明らかな変化が生じています。
銀行が最も警戒しているのは、新築投資用物件における「事業計画の不確実性」です。建築コストが跳ね上がった新築物件は利回りが低下しており、審査担当者は「この高い販売価格に対して、本当に想定通りの家賃で入居者が埋まるのか」「利回りが低すぎて、金利がさらに上昇した場合に返済が滞らないか」と、これまで以上にシビアに事業性を精査するようになっています。
融資の減額回答や審査の長期化・否決が増えているのは、その表れと言えるでしょう。
一方、中古の投資用マンションへの融資は相対的に底堅く推移しています。理由は明快で、中古物件には「過去数年間の実際の家賃入金実績」や「周辺エリアのリアルな賃貸需要データ」という、確定したファクトがあるからです。
これから建つ不透明な新築よりも、すでに稼働していて毎月の返済原資(家賃)が目に見えている中古の方が、銀行としてもリスク計算が立てやすい。「金利上昇リスク」と「資材高騰リスク」のダブルパンチを前に、融資の引きやすさという観点からも、市場の重心は新築から中古へと移りつつあります。
銀行が「確実な担保」として中古物件を評価するようになっていることは、売却を検討しているオーナーにとっても追い風です。買い手側が融資を引きやすいということは、買い手の裾野が広がり、売却交渉において有利な立場に立てることを意味します。
以前であれば「もう少し資金が貯まってから」と様子を見ていた層の投資家が、「今の中古なら融資が通りやすい」という判断で積極的に動き始めているという現場の声も増えてきました。
買い手の数が増えれば物件の取り合いが起き、価格は上向きます。融資環境の変化は、こうしたかたちで中古市場の価格を下支えしています。
中古物件への需要が高まる一方で、売却を検討しているオーナーが今もっとも警戒すべきなのが、一部の不動産会社・買い取り業者による「ナフサショック便乗の買い叩き」です。
一括査定サイトなどを利用すると、最初は高い金額を提示しておきながら、いざ具体的な商談に入ると査定額を大幅に引き下げてくる業者があります。
建材が値上がりしているのは事実です。しかし、それを口実に本来高く評価されるべき立地・条件の物件を必要以上に安く仕入れようとする手口が散見される可能性があります。
市場全体として「中古の価値が上がっている」局面にもかかわらず、オーナーの不安を煽って査定額を削ってくるアプローチには、冷静に対処することが大切です。
「相場が上がっている」という情報と「リフォームコストが高い」という情報を並べて、どちらの影響が大きいかを自分で判断できる知識を持っておくこと。それが、適正価格で売却するための基本的な備えと言えます。
こうした手口を避けるための対処法は、大きく二つです。
一つ目は、「現状有姿(そのままの状態)での売却」実績を豊富に持つ会社を選ぶことです。リフォームを前提とせず物件本来の価値で評価できる会社であれば、建材高騰を過剰に減額の理由にすることはありません。
二つ目は、独自の資材調達ルートやリフォームの内製化によって建材高騰の影響を抑えられる、再生ノウハウの確かな会社に相談することです。仕入れと工事のコストを自社でコントロールできる会社は、建材高騰を「言い訳」にする必要がありません。
むしろその影響を織り込んだうえで「この物件をどうすれば一番高く評価できるか」をロジカルに提案できます。
ナフサショックへの対応力を持つ会社かどうかを見極めること。これが、2026年の売却戦略を考えるうえで重要なポイントのひとつです。

「そろそろ現金を回収したい」「別の資産に組み替えたい」と売却を視野に入れているオーナーにとって、2026年の市場環境は注目に値する局面と言えます。
不動産売却で高値がつきやすいのは「買い手が多く、売り物が少ない売り手市場」のときです。現在の中古投資用市場は、その傾向が見られる状態にあります。
新築ワンルームというカテゴリーがコスト高騰で苦戦し、供給が絞られているため、既存の投資用マンションの相対的な価値が意識されやすくなっています。新築を「待つ」という選択肢が取りにくくなった投資家が、中古市場に目を向けているのが現状です。
特に、次の条件を満たす物件は市場での評価が高い傾向があります。
築5〜15年程度で当面は大がかりな設備交換を要しない物件、都市部・駅徒歩5分圏内など入居者が安定しやすいエリアの物件、直近でクロス貼り替えやエアコン交換などの最低限のメンテナンスを済ませている物件。
これらは「即戦力の優良中古」として評価されやすく、査定時にも有利に働くことがあります。
逆に言えば、これらの条件を満たさなくても、今の市場では以前より評価が出やすい局面にあります。「古い、設備が心配」と思って査定を躊躇しているオーナーも、まず現在の相場感を掴む意味で一度確認してみる価値はあるでしょう。
査定を取ることは売却の義務ではありません。相場を知ることは、保有を続ける場合の資産管理にも役立ちます。
買い手側の論理から見ても、今は「すぐ使えて余計なリフォーム費用がかからない優良な中古物件」への需要が一定程度強い時期です。
ナフサショックによってリフォームコストが高騰しているからこそ、買ってすぐに大きな出費が発生する物件は敬遠される傾向があり、手を入れずに使える物件には一定の需要が存在します。市場の在庫が限られている現在、強気の価格設定が成立するケースも見られます。
一方で「まだ保有を続ける」と決めているオーナーも、市場動向の定期的な把握は欠かせません。今後、日銀の金融政策の変化によってローン金利がさらに上昇したり、逆に中東情勢が落ち着いてナフサ価格が変動したりすれば、市場の力学は変わります。
定期的に査定を取り、「今売ればいくらか」という現在地を把握し続けることが、長期保有においても重要な資産管理の一部です。
投資判断をするうえで、多くのオーナーが気になるのが「このショックはいつ落ち着くのか」という点でしょう。残念ながら、正確な予測は誰にもできません。ただ、過去のショックと比較することで、ある程度の見通しを立てることはできます。
2021年のウッドショックは、コロナ禍による一時的な需要爆発と輸送混乱が引き金でした。その後、2022年から2023年にかけて木材価格は緩やかに落ち着いていきました。
半導体不足も、工場の増設と需給調整が進むにつれて改善を見せました。こうした過去の事例を振り返ると、特定の原因が解消されれば市場は正常化していくという流れは共通しています。
しかし今回のナフサショックの背景にある中東情勢は、他の資源危機と比べても解決の糸口が見えにくい問題です。地政学的リスクは経済の論理だけでコントロールできるものではなく、緊張が長期化すれば原油・ナフサの供給制約も長引く可能性があります。
さらに、仮に中東情勢が一定程度落ち着いたとしても、すでに上昇した建材メーカーの人件費や設備投資コストは下がりません。「ナフサが落ち着けば建材価格も元に戻る」とは必ずしも言えないのが現実です。
加えて、日本固有の問題として「建設職人の絶対数不足」があります。高齢化と後継者難により、左官・板金・塗装・設備といった専門職人の数は年々減少しています。
資材が手に入っても、工事を担う人手が足りないという状況は、ナフサショックが落ち着いた後も残り続けます。建築コストの高止まりは、中期的には構造的な問題として続く可能性があります。
つまり、現在の中古優位・新築苦戦という市場構造は「ナフサが落ち着いたらすぐに元に戻る」ものではなく、日本の住宅市場が抱える複合的な問題の結果として、ある程度の期間にわたって続く可能性があるということです。
その意味で、今の売り手市場は「一時的なチャンス」というより「構造的な変化の入口」として捉えるべきかもしれません。
ただし、それが「いつまでも続く」という保証もありません。金利の急上昇や景気の悪化があれば、市場の力学は変わります。
売却を考えているオーナーにとって重要なのは、「完璧なタイミングを待つ」のではなく、「今の市場が自分にとって有利かどうか」を客観的に判断することです。そのための最初のステップが、現在の正確な資産価値を把握することにほかなりません。
2026年の不動産市場を動かすナフサショックは、一見するとコスト上昇というネガティブな側面ばかりが目立ちます。しかしその裏側では、中古不動産の価値が見直されるという構造変化が静かに進んでいます。
保有を続けるオーナーには「守りの運営」が、売却を検討しているオーナーには市場の追い風を活かす判断が求められる局面です。どちらの選択をするにしても、まず必要なのは自分の物件の現在価値を正確に知ることです。
不動産市場は、気づいたときには状況が変わっていることも少なくありません。中東情勢の変化や金利の動向次第で、今の売り手優位の環境が続く保証はありません。「もう少し様子を見てから」という判断が、売却のタイミングを逃すことにつながったケースも、現場では少なからず見てきました。
「うちのマンション、今ならいくらになるんだろう」と少しでも気になったなら、まずは現在の適正な査定価格を把握することから始めてみてください。
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