このレポートを公開した背景
日銀はマイナス金利解除以降、段階的な利上げを進めており、追加利上げ観測も根強い。一方で投資用ワンルームマンションの価格は高止まりが続き、価格上昇が利回り改善につながらない構造が全国主要都市で顕在化しています。
こうした環境変化の中、保有物件の収支を見直したいというオーナー様からのご相談が当社でも増えています。「今の金利水準で収支は成り立っているか」「出口のタイミングをどう考えればいいか」——そうした判断の起点となる客観的なデータをお届けするため、本レポートを公表しました。
調査結果サマリー(全785件)
有効取扱件数
対象エリア
全体平均価格
785 件
大阪・東京・愛知
兵庫・福岡・京都
兵庫・福岡・京都
1,825 万円
全体平均坪単価
全体平均利回り
最高価格都市
247 万円/坪
4.43 %
東京都
平均2,117万円
| 都市圏 | 平均価格 | 平均坪単価 | 利回り中央値 | 利回り分布幅 | 平均賃料/月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 2,091万円 | 298万円 | 4.11% | 3.2〜9.9% | 87,163円 |
| 大阪府 | 1,714万円 | 232万円 | 4.32% | 4.2〜4.5% | 71,537円 |
| 兵庫県 | 1,705万円 | 224万円 | 4.47% | 4.4〜4.7% | 73,313円 |
| 京都府 | 1,604万円 | 207万円 | 4.45% | 4.1〜4.8% | 71,076円 |
| 愛知県 | 1,593万円 | 199万円 | 4.73% | 4.6〜5.1% | 72,741円 |
| 福岡県 | 1,467万円 | 187万円 | 4.39% | 3.9〜8.7% | 63,946円 |
| 全体平均 | 1,786万円 | 247万円 | 4.43% | — | — |
価格帯別利回りの構造——「高い物件ほど利回りは低い」
全785件を価格帯別に集計した結果、価格の上昇が利回り改善につながらない構造が、全エリア共通のパターンとして明確に表れました。1,500万円未満では4.86〜6.54%の利回りが確保できる一方、2,000万円を超えると4.03〜4.05%へ収束しています。
| 価格帯 | 取扱件数 | 平均実質利回り | 平均価格 |
|---|---|---|---|
| 〜1,000万円 | 48件 | 6.54% | 792万円 |
| 1,000万〜1,500万円 | 171件 | 4.86% | 1,305万円 |
| 1,500万〜2,000万円 | 323件 | 4.33% | 1,737万円 |
| 2,000万〜2,500万円 | 90件 | 4.05% | 2,225万円 |
| 2,500万円〜 | 91件 | 4.03% | 3,109万円 |
価格が上がるほど利回りが下がる——この構造は6都市に共通している。2,000万円超の物件では価格帯に関係なく利回りが4%前後に収束しており、「高い物件を買うほど有利」とはならない市場になっている。
都市ごとの市場特性——利回り格差の構造はなぜ異なるか
同じ「投資用ワンルームマンション」でも、都市ごとに利回りの水準・分布・エリア格差のパターンは大きく異なります。保有物件の都市特性を理解することが、収支判断の前提になります。
東京都
4.11% 中央値
利回り格差が最大
平均(4.53%)と中央値(4.11%)の乖離が6都市で最大。3.2〜9.9%と分布が最も広く、エリア・築年数によって1.5〜2.5pt超の格差が生まれる。新築・築浅(10年未満)の利回りは3.94%と全都市最低水準。「高利回り」の多くは築35年超(価格969万円)によるもので、価格下落の反射。
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大阪府
4.32% 中央値
利回りが最も均質
利回りの25〜75%ile幅が4.18〜4.50%と6都市最小。都心6区と周辺エリアで利回り差がほぼなく(4.34% vs 4.40%)、エリアによる収益の差別化が生まれにくい構造。安定の裏側として、価格下落時に利回りで逃げる余地が小さいリスクを内包している。
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愛知県
4.73% 中央値
6都市で最高利回り
利回り中央値4.73%は6都市で最高。分布も4.55〜5.08%と安定しており、名古屋市内の主要エリアすべてが4.7%超を維持。坪単価199万円と価格が抑えられる一方、賃料水準(72,741円/月)は大阪・福岡を上回り、価格と賃料のバランスが最も良い市場。
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兵庫県
4.47% 中央値
大阪同価格で利回り優位
平均価格1,705万円と大阪(1,714万円)がほぼ同水準にもかかわらず、利回り中央値は4.47%と大阪を0.15pt上回る。平均賃料(73,313円)も大阪(71,537円)より高く、坪単価に対して賃料が相対的に維持されやすい構造を持つ。
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福岡県(中央値4.39%):平均価格1,467万円と6都市最安値。3.9〜8.7%と分布幅が最大で、高利回りの正体は築古・低価格帯物件。平均賃料63,946円は6都市で唯一6万円台と、賃料水準そのものの低さが価格の安さの背景にある。
京都府(中央値4.45%):築古(20〜35年)で利回り5.30%・価格1,167万円と、大阪の同カテゴリ(4.83%・1,324万円)に比べて価格の下落幅が大きく、利回りへの反映が強い。観光都市としての賃料下支え効果と築古アップサイドが共存する市場。
京都府(中央値4.45%):築古(20〜35年)で利回り5.30%・価格1,167万円と、大阪の同カテゴリ(4.83%・1,324万円)に比べて価格の下落幅が大きく、利回りへの反映が強い。観光都市としての賃料下支え効果と築古アップサイドが共存する市場。
都市別 詳細レポート
各都市の詳細な市場分析・エリア別データ・外部環境との関係は、以下の詳細レポートをご参照ください。
代表取締役 畠野洋平 コメント
調査概要
調査主体株式会社SOZO
調査対象当社が取り扱った投資用区分マンションの売買実績データ
有効件数785件
対象エリア大阪府・東京都・愛知県・兵庫県・福岡県・京都府
調査時点2026年4月時点
利回り定義実質利回り(年間賃料収入÷取得価格)
備考本レポートは情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。
2026年春以降の投資用マンション市場は、価格の高止まりと金利上昇が同時進行する局面を迎えています。今回のデータが示す通り、2,000万円を超える価格帯では利回りが4%前後に収束しており、価格上昇がそのまま収益改善につながらない構造が定着しています。
仮に物件価格が調整局面に入れば、賃料相場への波及とローン返済負担の増加が重なり、保有コストが収益を上回るケースも想定されます。当社では、こうした環境変化を踏まえて保有物件の収支を見直したいというオーナー様からのご相談が増えており、出口戦略を早めに検討することの重要性を改めて感じています。
都市ごとに市場の特性と保有リスクの性質は異なります。データに基づいた客観的な判断材料を広くご提供することで、オーナー様の意思決定に貢献できれば幸いです。