「このまま持ち続けて大丈夫だろうか」。投資用ワンルームマンションの売却相談で、いま最も多い理由は「将来の不安」です。ReTrueに寄せられた売却相談を分析したところ、2026年は「将来の不安」が44%を占め、2024〜2025年の31%から13ポイント増加しました。本記事では調査結果とあわせて、大阪府の平均的なワンルームで金利が上がると収支がどう変わるのかを、自社試算でご紹介します。
投資用ワンルームマンションを所有していて、こんな不安を感じていませんか。
こうした「これからの収支」への不安は、決してあなただけが抱えているものではありません。同じ理由で売却を検討するオーナーは、この1〜2年で大きく増えています。
投資用ワンルームマンション売却サービス「ReTrue(リトゥルー)」に寄せられた売却相談を分析したところ、「将来の不安」を理由とする相談の割合が大きく伸びていました。
売却理由の内訳を前年と比べると、次のようになります。
| 売却理由 | 2024〜2025年 | 2026年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 将来の不安 | 31% | 44% | +13pt |
| 収支悪化・損切り | 23% | 22% | ▲1pt |
| 利益確定 | 16% | 12% | ▲4pt |
| 住宅ローンが組めない | 14% | 13% | ▲1pt |
| 物件の入れ替え | 9% | 3% | ▲6pt |
| 相続 | 5% | 4% | ▲1pt |
| その他 | 2% | 2% | ±0pt |
2026年の売却理由は、1位「将来の不安」44%、2位「収支悪化・損切り」22%、3位「住宅ローンが組めない」13%、4位「利益確定」12%という結果でした。金利上昇によるローン返済負担への懸念に加え、物価・人件費・修繕費・管理コストなどの上昇が、長期保有への不安につながっていると当社ではみています。
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後、政策金利の引き上げを進めています。2026年9月18日には政策金利を1.25%程度へ引き上げました。また総務省統計局によると、2026年8月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比1.9%上昇しています。投資用マンションの将来収支には、次の3つが重なって影響する可能性があります。
変動金利でローンを組んでいる場合、金利の引き上げに応じて毎月の返済額が増えていきます。
物価や人件費の上昇によって、管理費・修繕積立金などの維持・管理コストが増加する可能性があります。
物価が上昇しても、賃料が同じ割合で上昇するとは限りません。支出が増える一方で収入が追いつかなければ、収支は悪化していきます。
「将来の不安」を具体的な数字で確認するため、当社が2026年4月に公表した「全国785件取扱実績レポート」における大阪府の平均条件(平均価格1,714万円、平均賃料71,537円/月、利回り中央値4.32%)をもとに、金利上昇時の年間キャッシュフローを試算しました。
| 借入金利 | 月々の返済額 | 年間CF | 10年間の累計 |
|---|---|---|---|
| 1.8%(現状) | 約55,000円 | +約4.8万円 | +約48万円 |
| 2.3%(+0.5%) | 約59,500円 | ▲約0.5万円 | ▲約5万円 |
| 2.8%(+1.0%) | 約64,100円 | ▲約6.0万円 | ▲約60万円 |
| 3.3%(+1.5%) | 約68,900円 | ▲約11.8万円 | ▲約118万円 |
金利が1.0%上昇すると、年間の収支は約11万円悪化する計算です。現状の1.8%水準ではわずかにプラスでも、2.3%を超えるとマイナスに転じます。
| 借入金利 | 年間CF | 10年間の累計 |
|---|---|---|
| 1.8% | ▲約1.2万円 | ▲約12万円 |
| 2.8% | ▲約12.0万円 | ▲約120万円 |
| 3.3% | ▲約17.8万円 | ▲約178万円 |
金利1.5%上昇と修繕積立金の増額が重なると、10年間の持ち出しは約180万円に達します。大阪府は6都市の中でも利回りの分布幅が最も小さく、「利回りで逃げる余地が小さい」市場特性があり、金利や管理コストの変化がそのまま収支の変化に直結しやすい点も特徴です。
※本試算は残債全額に新金利が適用される前提の簡易試算です。実際の返済額は金融機関の条件(見直し時期、返済額の上限ルールの有無等)や残債・残期間によって異なります。
今回の調査で特徴的なのは、「利益確定」が16%から12%へ低下する一方、「将来の不安」が31%から44%へ大きく上昇したことです。当社に寄せられる相談でも、単に「利益が出たから売却する」のではなく、将来のキャッシュフローを懸念する声が増えています。
これからの投資用マンションでは、購入時の表面利回りだけでなく、金利・賃料・管理費・修繕費などが変化した場合の「長期的な手残り収支」を確認することが、これまで以上に重要になると当社は考えています。
今回の調査で、『将来の不安』を理由とする売却相談が31%から44%へ増加したことは、投資用マンションを取り巻く環境の変化を象徴していると感じています。金利が上昇し、物価や維持管理コストも変化する中で、投資家の方々が『今の収支』だけではなく、『これからの収支』を意識するようになっています。
当社としては、売却を推奨するのではなく、保有・売却それぞれの選択肢を検討するために、将来の収支を具体的に把握することが重要だと考えています。今後もReTrueへの売却相談を継続的に分析し、投資用不動産市場の変化を発信してまいります。
ReTrueに寄せられた2026年の売却相談では、「将来の不安」が44%で最多でした。2024〜2025年の31%から13ポイント増えています。
大阪府の平均的な条件(物件価格1,714万円・全額借入35年)で試算すると、金利1.8%から2.8%への上昇で年間キャッシュフローは約11万円悪化します。実際の影響は金融機関の条件や残債・残期間によって異なります。
表面利回りだけでなく、金利・賃料・管理費・修繕費が変化した場合の長期的な手残り収支を確認することが大切です。ReTrueでは「保有を続けた場合」と「売却した場合」の将来収支シミュレーションをご提供しています。
| 調査対象 | ReTrueにお問い合わせいただいた投資用ワンルームマンション所有者 |
|---|---|
| 調査期間 | 2024〜2025年、2026年 |
| 調査方法 | 売却相談時の売却理由を当社独自基準で分類・集計 |
| 調査主体 | 株式会社SOZO ReTrue |
※本調査は当社に寄せられた売却相談を対象とした自社調査であり、日本国内の投資用マンション所有者全体を対象とした調査ではありません。そのため、市場全体の傾向を直接示すものではありません。
※大阪府の平均価格・平均賃料は、株式会社SOZO「2026年4月版 全国取扱実績レポート」(有効件数785件、2026年4月時点)によります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資判断を推奨するものではありません。
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